「……良かったね、雄真君」 「あぁ……」 今回、いい感じに力が抜けたように見える。 これでいつ行動に移しても伊吹はしっかりやれるだろう。 残る問題は、式守本家と……那津音さんに魔力を戻す方法か…… 「また、式守家の方に連絡をいれてみるか……」 忙しくなってきたけど……やり甲斐はある。 なら、思う存分頑張ってみようじゃないか。 二次創作 はぴねす! Magic Word of Happiness! みんなでお昼ご飯をOasisで食べた後、俺は母さんに連絡を入れた。 「あ、母さん。午後の授業、休み扱いしてもらえるかな?」 俺がわざわざこんな連絡を入れたのは、ちゃんとした訳がある。 『どうしたの、唐突に』 式守本家は、魔法使いとしても大家であり、それ相応の格式という物が存在している。 中でも階級……つまり、それぞれの立場が明確になっている。 「式守本家の護国さんの所に連絡入れようと思うんだけど……」 そして、護国さんは現状での式守を治める当主…… 俺なんかが連絡を入れて、本来すぐにアポイトメントが取れるとは思わない。 「しかも、小雪さんがオマケで占ってくれたんだけど、もしかすると本家の方に顔を出さなきゃいけないかもしれないんだ」 小雪さんの、俺に対する悪い方に関しての占いは、どういうわけか百発百中だ。 その占いが、悪い方を示したとなれば、恐らくそれは現実のものになるんだろう。 『なるほど、だから式守本家に殴りこむかもしれないからお休みが欲しいのね?』 「……誰も、そこまでは言ってないんだけど?」 母さんは、どういうわけか話をものすごく飛躍させていた。 確かに本家の方に行かなきゃとは言ったけど、殴りこむなんて一言も言ってないような…… 『あら、恐らく高峰さんがそう先見したのなら、私の言っていることも当たると思うわよ?』 「……よくわからないけど、一応大丈夫なのかな?」 ものすごく2段仕込みで不吉な予言を聞いた気分になっているのはなんでだろか。 必死に、それを考えないようにしながら、俺は母さんの解答を待った。 『ええ、いいわよ。私の方で雄真君は特別授業があったって事にしてあげるわ』 どうやら、一応授業としての単位もなんとかしてくれるらしい。 良かった、正直サボりと取られてもおかしくないかと心配してたんだけど。 「そっか、ありがとう」 『いえいえ、それより雄真君』 「ん?」 母さんから了解の返事が貰えた以上、さっさと行動に移ろうかと思った。 だが、携帯の受話口から聞こえた母さんの呼びかけに、剣呑なものを感じ取った。 『式守家への連絡に対して、もし相手が失礼な対応をしてきたと判断できる場合、御薙の名を持って制圧することを許可します』 そして、母さんが言った言葉は、お世辞にも平和とは言えないことだった。 ……制圧だって? 「まさか、式守家といえば有数の大家なんだし……そんな対応なんて……」 第一、 俺の実力で式守家を相手できるかと聞かれれば、できないと思う。 伊吹1人ならまだ戦い方次第でどうとでもなるが、それが増えれば増える程、難易度は増す。 『これから私たちが行なう方法は、式守本家からすれば相反することなのはわかるわね?』 「……まぁ、それはそうだろうね」 最初に伊吹が言っていた。 秘宝の起動は、本家では監視下にあると。 『でも、護国氏と連絡を取って、もし許可がもらえてしまえば……そう考えたとしたら?』 伊吹……次期当主の命を守るためならば、なんだってするだろうな。 それこそあらゆる手段を使って、俺の邪魔をするかもしれない。 「……そうなった時のための、保険ってこと?」 『そうなるわね、雄真君が多少暴れて、家が壊れたとしてもちゃんと責任もってあげるわ』 俺が暴れるのが確定しているのはいかがなものかと思うわけなんだが。 これでも俺は一応『みんなを幸せにするための魔法使い』を目指している。 だからこそ、不必要な破壊活動はしないと思っているんだけど。 『確かに、雄真君の魔法の概念はとても大事なことよ』 俺の心のうちを知ってか知らずか、母さんは言葉を続けた。 『でもね……人って、我慢にも限界があるって事よ』 「ひっ!」 電話から聞こえた、母さんのあり得ないほどの冷たい言葉に本気で冷や汗が流れた。 ……なんだろう、もしかして式守本家から母さんは何かを言われたんだろうか? 『それじゃ、それをしっかり覚えた上で、頑張ってね、雄真君』 「うん、わかった……とりあえず、連絡を入れてみるよ」 そこで、母さんとの電話は終わった。 「……ティア、どう思う?」 「そうですねぇ……鈴莉様の仰った事が事実になる可能性は7割と言ったところでしょうか」 7割か……高いとも言えないし、低いとも言えないな。 「ですが、小雪様が先見された事を踏まえて考えると、9割は突破するかと思います」 「なら、それを先に言ってくれ……」 ティアの予測が9割を超えた以上、何か揉め事が確実に起こると考えても問題ない。 そう断言できるくらい、ティアの状況予測能力は高い。 「事態をあっさりと終了する物から面倒な物まで幾つか予測が立てられますが、いかがします?」 「……一番俺が嫌いで、面倒なケースは?」 多少のことなら、何とかできると思う。 だけど、俺が言った一番嫌いで、面倒なケース。 それは、魔法を使って誰かと戦わなきゃならないケース。 「……心苦しいですが、マスターがその状況に置かれる場合、相手となるのは信哉様かと」 「……やっぱり、そうなるのか」 あまり信哉の魔法を詳しく見たわけじゃない。 だが、数回見ただけで分かるほどに信哉の戦闘スタイルは近距離型だ。 しかも、あのマジックワンドは強力な魔法防御を備えているように見える。 「……対策は、練っておいた方がいいかもしれないな」 「まぁ、言い方は悪いですが、信哉様ならば取れる手段が無いってわけでもありませんが」 信哉だから事取れる対処法? そんなものがあっただろうか? 「一応信哉様の方に確認してみませんとなんとも言えませんので、そうなった場合私に任せてください、マスター」 ティアがそう言うのなら、俺としては信じてみる価値はある。 常々、俺のために最良になる判断をしてきてくれたティアだ。 今回だってきっとそう言う結果を出してくれるだろう。 「わかった、その時は任せる」 「了解しました、マスター」 さてと、時間は……もうすぐ午後の授業が始まるくらいか。 なら、一応春姫たちに午後からいないって事、伝えておかないとな。 「そんなわけで、俺午後から少しだけいないから」 クラスに戻って、春姫や杏璃、上条兄妹、さらに準やハチを集めて、簡潔にそう告げた。 すると、予想通り、ハチが寝ぼけた事を言ってきた。 「任せとけ、雄真!お前がいない間しっかりと姫ちゃんは俺がまも……」 それ以上、聞く前に的確なタイミングで準がくれた縄を使ってハチを縛り上げる。 そして縛った後、速攻でそれを準に渡した。 「パトリオット・ミサイルシュート!!」 「ふがー!!」 そして、準の電光石火の蹴りによって、ハチは空の彼方へと消えた。 恐らく、授業が始まった頃には戻ってくるだろう。 「……雄真君」 「ごめんな、春姫」 春姫がついて来たいと言う様な雰囲気を見せていた。 だが、それを先に謝ってしまうことで封じる。 母さんや小雪さんが言った以上、何が起こるかはわからないから。 「……うん、待ってるね」 少しだけ、涙を瞳ににじませた春姫が、無理矢理に笑顔を作って言ってくれた。 その表情を見て、つい一緒に来て欲しいと言いそうになったが、強引に喉の奥で留める。 「大丈夫。絶対無事に、戻ってくるから」 そして、俺もできるだけ安心してもらえるような笑顔を見せて、春姫の頭を撫でた。 触れた春姫の髪の毛は、柔らかくて気持ち良かった。 「はいはい、ノロケはいいから」 「まったく雄真ったらすっかり春姫ちゃんの虜ねー」 「はっ!?」 春姫の髪の毛にばかり気をやって、周りで見ていた存在をすっかり失念していた。 柊と準のからかうような言葉で、今自分が作った状況を思い出した。 慌てて手を離し周りの方を見ると、全員が全員微笑ましいと言わんばかりの顔をしていた。 「……そ、それじゃ行って来る」 猛烈に気まずくなって、春姫には大変申し訳ないが足早に去ろうとした。 そんな俺を、今まで黙っていた信哉が呼び止めた。 「待たれよ、雄真殿」 「……ん?」 振り向いた先にいる信哉は、相変わらずだったが、今回は何かそれが違うように感じられた。 ……あぁ、そういうことか。 信哉が握りなおした『風神雷神』を見て、俺は信哉が言いたいことがわかってしまった。 「ここじゃアレだな、こっちでいいか?」 「かたじけない……」 そして、俺は信哉だけを引き連れて、みんなに向かって一言だけ、声をかけた。 「それじゃ、ちょっと行ってきます」 「いってらっしゃい、雄真君」 すぐに反応を返してくれた春姫が、嬉しかった。 「……さてと、なんとなく予想は付くが、用件を聞こうか?」 教室から少し離れた階段。 そこまで歩いてきた俺は、少し遅れてついてきた信哉にそう問いかけた。 「雄真殿は、これから式守本家に連絡を取るのであろう?」 「……どこから聞いたかはしらないけど、その通りだ」 信哉はまるで絞り出すかのように、一言一言を告げていた。 その言い方から、信哉の葛藤が伝わってくるような気がした。 「その事に関して、本家の方々より直々に勅命を賜った……」 そして、持っている風神雷神を構えると、切っ先を俺に向けて言った。 まるで、こんなことは望んではいないと言いたいかのような表情で。 「全力を持って雄真殿と護国様が会うことを妨害せよと」 どうやら、俺の一番嫌いなパターンが現実のものになってしまったらしい。 母さんや小雪さん、ティアの予想が当たったことに呆れたため息を吐きつつ。 俺は、こんな命令を信哉に言い渡した、式守家の人に対して怒りを感じ始めていた。 「……ティア、思うとおりやれ」 そして、俺はカフス状態のままで待機中のティアに、そう命令を出した。 頭の中では、式守家に対して、どういった手段を講じてやろうかと考えながら。 〜 あとがき 〜 うーん、暴れさせる予定が、ずれた。 まぁ1話くらいは許容範囲ということにしておこう。 次回嘘予告! 夢のタッグ結成!! 雄真&信哉のペアが式守本家を蹂躙する! ……なんてな。 まぁ、どうなるかは未だわからない。 んだば、今回はこの辺で。 From 時雨
初書き 2008/02/03
公 開 2008/02/09 |