その信哉に頭を上げるように言った後、その男性は俺の事を見て、そう言って来た。 「えぇ、お久しぶりです。護国さん」 そして俺は、式守本家現当主、式守護国と対面した。 さて、ここからが重要になってくる。 気を引き締めて行かなきゃならないだろう。 二次創作 はぴねす! Magic Word of Happiness! 「ここで立ち話もなんでしょう、どうぞ上がってください」 俺が何かを切り出すよりも先に、護国さんはそういって式守家への方へと歩き出した。 それに追従するかのように、屋敷内へと戻っていく式守家の魔法使い。 「……さて、どうしたもんかな」 俺は、すぐには後に続かず、式守家の関係者が全て屋敷内に入ったのを確認した後、そう呟いた。 「際どい所ですね……確立で言えば五分くらいでしょうか」 「そんな所だよな」 俺の言いたい事を理解しているティアが、俺の呟きにそう返してくれた。 ……五分か、微妙なラインだな。 「雄真殿、なぜ行かぬのだ?」 俺たちの会話を理解しきれない信哉がそう聞いてきた。 まぁ、人前でそんな分かりやすい会話なんてしてないから当たり前なんだが。 「……このまま式守家の中に入った時の危険性を考えてるんだ」 「ふむ……護国様に会った後も、危険性があると言うのか?」 単純に、護国さんが出てきた以上、当面の危険は去ったと考えたとする。 それは……今の護国さんが本物なら、という前提が必要になる。 記憶にある護国さんとは同じだったが、それが本当に護国さんであるかという確証が持てない。 「……ティアが、確実に護国さんが来たって言ったわけじゃないからな」 「……俺には護国様に見えたが、偽者であるということか?」 「まぁ、平たく言っちゃえばその可能性もあるって事」 基本的に、ティアは一度でも会ったことがある人の場合、その人の魔力反応を記憶している。 護国さんと一度会った記憶がある以上、ティアがはっきりと認識できなかったのが怪しい。 「……本物だとしたら、あまり待たせるのはよくないってのは分かってるんだけどな」 式守家に踏み込んだ瞬間、魔法の嵐が降ってくるような、そんな嫌な予感がする。 そもそも、母さんと小雪さんのダブルパンチが、この程度で治まるとは思えない。 小雪さんの俺に対する不幸予言は、ただでさえ絶対当たるんだから。 「信哉」 「なんだ?」 今の俺には1つだけ、真偽を判断する方法があるにはある。 「今から、ちょっとだけ荒っぽい事するけど、みんなには内緒にしておいてくれな」 「……は?」 できれば春姫には最優先で隠しておいて欲しい。 無事に帰ってくると言った以上、出来るだけ無茶とかはしたくなかったんだけどな。 「……ティア、 「了解」 「エル・アムダルト・リ・エルス……」 ティアの準備が完了したと同時に、詠唱を始める。 突然魔法詠唱を始めた俺を見て、信哉が慌て始めた。 「……カルティエ・フォン・クレイシア」 「雄真殿、何をする気なんだ」 俺がどんな行動に移ってもいいようにするためか、風神雷神を構える信哉。 そんな信哉を視界に入れながらも、俺は生み出した3つの火球を回りに浮かせて待機状態にした。 「……雄真殿、それを式守家に向かって放つというのなら、俺は全力を持って阻止する」 油断なく、隙も無く戦闘体制を取る信哉。 ……さすがに、近接戦に長けたマジックワンドを持っているだけはある。 「……大丈夫だよ、信哉。これは放つために出したわけじゃない」 「……どういうことだ?」 「ほら、どうやら成功したらしい」 俺は、信哉の後ろ……式守家の方向を指差した。 その先には、さっきの人と同じ宮司の格好をしながらも、存在感が際立つ人物が歩いてきていた。 「……ビンゴですね、マスター。護国氏です」 「やっぱりさっきのは偽者って事か」 さっきの式守家の対応は、あまりにも早く、完璧すぎたのだ。 俺が名乗ってすぐに護国さんが来たのが、どうにも信用ならなかった。 これだけ大きい式守家の、当主と言う座にいる人が、そんなに早くこれるはずが無い。 「……ティア、 「了解しました」 出しておいた火球を、ティアに頼んで解除してもらう。 丁度その魔法が解除されたと同時に、護国さんが俺たちの前に辿り着いた。 「やはり、覚えのある魔力だと思えば……君だったか、雄真君」 辿り着いてすぐ、護国さんはそう言った。 この台詞で、やはりさっきの人が偽者だと俺は確信した。 さっきの人は、俺の事を、確信を持って呼んでいないからだ。 「このような形で、対面することをお許しください、そして……お久しぶりです。護国さん」 「どうやら家の者が失礼をしたらしいね……すまない」 話を聞いてみると、どうやら護国さんは家での仕事をこなしている時、俺の魔力を感じたらしい。 そして、家の門の方まで来て見れば、いつでも魔法を唱えられる状態の人たちが待ち構えていた。 その中の数名に話を聞いた所、俺が来たことを知ったらしい。 「さて……とりあえず私を訪ねて来た理由だが……恐らく伊吹の事だろう?」 「えぇ、その通りです……秘宝を、発動させる許可を頂きに来ました」 この件に関して、余り時間をかける気はない。 もしここで、護国さんから許可がもらえなかったとしても、最終的に秘宝は発動させるだろう。 那津音さんを救うには、その方法しか見つかっていないのだから。 「…………」 護国さんは、何かを考えるかのように、顎に手を当てて黙り込んだ。 無理に解答を求めず、俺は護国さんが口を開くのを待った。 「……伊吹も無事に、那津音を救えるのかい?」 明確に許可するわけでも、否定するわけでもない。 ただ、護国さんは俺の目を見て、そう一言だけ漏らした。 その質問に対して、俺が答えられるようなものは、1つしかなかった。 「……救います、必ず」 決意を載せて、護国さんを見返す。 どのくらい無言の時間が過ぎたんだろうか、護国さんはひとつだけ息を吐くと、笑顔を浮かべた。 「すっかり、大人になったようだね……雄真君は」 その視線は、まるで子供を見守ってきた親のように感じられた。 そして、護国さんは表情を引き締めると、信哉の方へと向き直った。 「信哉君」 「はっ」 名前を呼ばれた事で、即座に臣下の礼を取る信哉。 「これは式守家当主よりの勅命である、全力を持って、御薙雄真の成す事を助力せよ」 「はっ!確かに勅命、承りました!」 そして護国さんは、その信哉に向けて一言だけ、当主として命令を下した。 全力で俺のサポート……つまり、これ以上式守家の保守派が何を言ってきても、信哉は思ったとおりに伊吹の行動を邪魔する必要がないって事か。 「ありがとうございます、護国さん」 「大体の事の顛末はすべて聞きだして来たからね、このくらいはさせてもらうよ」 さっきまでの威厳とかをどこに置いて来たのか、気軽そうに護国さんは言った。 それに苦笑しつつも、俺は1つだけお願いをすることにした。 「じゃぁ、ついでに1つだけお願いします」 「何かね?」 「信哉に、自分の身も大事にするように言ってやってください」 きっと、伊吹に何か危険が迫った時、信哉は自分を犠牲にしてでも伊吹を守ろうとするだろう。 でも、伊吹も上条さんも、そんなことは望まないだろう。 「……なるほど、それは確かに言えているね。信哉君、聞いての通りだ」 「……善処させて頂きます」 さすがに、護国さんに対して普段の口調では話せないのだろうか。 信哉の敬語なんてはじめて聞いた気がする。 「それじゃあ、私はそろそろ失礼させてもらうよ。まだ仕事が残っているのでね」 「はい、お手数をお掛けしました」 「ははは、今度来る時は前もって連絡を入れてくれ、最高のお茶を用意して迎えよう」 そう言って屋敷に戻り始める護国さんに向かって、頭を下げる。 すると護国さんは、愉快そうに笑いながら言った。 「えぇ、今度伺う時は、那津音さんも伊吹も、みんな一緒に行きますよ」 「……頼んだよ、雄真君」 その一言に対して、俺はみんな一緒にという言葉を付け足して返した。 護国さんは、それを聞いて、少しだけ立ち止まると最後にそう言って、屋敷の中へと姿を消した。 「……さてと、これで秘宝を発動する準備が整ったと考えていいか」 「楽観は出来ませんが、これで式守家は障害としては成り立ちにくくなったでしょうね」 強硬手段で秘宝を発動させたとすれば、式守家の人間が止めるために学園に来る可能性があった。 でも、護国さんが協力者になってくれたことで、その可能性は低くなったと見ていい。 さすがに可能性がゼロになったと楽観できる程、簡単なものじゃないからな。 「そろそろ戻らないと、みんなに心配かけてるかもな」 「そうですねぇ……春姫なんかはずっと教室で待っているかもしれませんよ?」 「……あり得る」 こっちに向かう時でさえ、心配そうな顔をしていた春姫の事だ。 俺が無事に戻ってきたのを確認するまで、家には帰らなさそうだ。 「そう考えると、急いで帰らないと非常にマズい気がするんだが」 そう言って、無理なのは分かっているが信哉を見てみる。 来るときに使ってもらった魔法は、片道だけだと本人が言っていた。 さすがに魔法式を見てすぐに改良策が思いつく程、魔法式に長けている自信は無い。 「……信哉のその風神雷神って……飛べるのか?」 「……俺の風神雷神に、そのような能力はついていない」 まぁ、信哉が風神雷神に乗って空を飛んでいる所なんて、想像できないよなぁ…… どっちかっていうと、目的地までの道を切り払う方が似合ってる気がするし。 「……信哉に案内を頼むのは……無理か」 「む……」 本人はものすごく否定したいように見えた。 だが、人を立てる事が大半の上条さんが信哉の事を方向音痴と言っていた。 兄妹だから、と言われると納得もできるが……実感が篭っていたように感じたしなぁ。 「仕方ない……男2人、空の旅か」 ティアなら恐らく大体の道はわかるだろうが、徒歩だとどうしても時間がかかる。 春姫が待っているかもしれない以上、そんなに移動に時間はかけたくない。 と、なると残された手段と言うのは少ないわけで…… 「むさ苦しい事この上ないですねー」 「……ティア、それを言うな」 乗せる側のティアのその台詞が、非常に痛く感じた。 事が片付いたら、信哉の魔法式の改良を優先しよう。 そんな、変な決意を新たにする俺だった。 〜 あとがき 〜 人物像に悩む余り、最初のを偽者にしてみる時雨です。 いやだって、妨害があんなにあっさり引くのもおかしい気がするじゃないですかね? そんなわけで、とりあえず式守家問題しゅーりょー 次から秘宝に深く切り込んでいけたらいいなぁ。 まぁ、もうちょい問題があるような気がするので、それをこなしながらですね。 とりあえずー……考えなきゃいけないことがちらほら。 一番の問題は、どうやって雄真と春姫の協力魔法使おうかなーって事ですが(笑 とりあえず、、今回はこの辺で。 From 時雨
初書き 2008/02/13
公 開 2008/02/18 |