珍しくハルヒも、朝比奈さんも長門もいない部室。
たまにはまぁそんな日もいいかと、気まぐれを起こしてみたりして。
結局、俺と古泉はいつもどおり当たり障りのない将棋に興じるのだった。















「そういえば、最近どうですか、そちらの調子は」


パチッ


「最近どう…とはなんのことだ」


パチ


「涼宮さんとのことですよ」


パチッ


「ハルヒがどうかしたか?」


パチ


「はぐらかしているのか、本当にわかっていないのか、判断に困る言い回しですね」


パチッ


「お前が何を言いたいのか理解できないだけだ」


パチ


「単純な好奇心ですよ、付き合っているのでしょう?涼宮さんと」


パチッ


「……ノーコメントだ」


パチンッ!


「連れないですね、友人じゃないですか、僕らは」


パチッ


「友人と思うなら、気を使って聞かないのもありじゃないのか」


パチ


「そこは状況に応じてと言いましょうか。やはり僕も思春期の男ですから、色恋には多少の興味もありますよ」


パチッ


「なら、なおさらノーコメントだな」


パチ


「本当に、連れないですねぇ……優しいのは夜だけですか?」


パチッ
ガタンッ!


唐突な台詞のせいで、椅子から転げ落ちた。
何を言い出すんだこいつは。
それ以前に、なぜ知っている。


「……なんのことだ?」


パチッ!


「いえいえ、機関にもいろいろな職業の方がいらっしゃいまして。たまたま聞いてしまっただけですよ」


パチッ


「いずれストーカーか何かで捕まるんじゃないのか、お前の組織とやらは……」


パチンッ!


ただでさえ、組織の存在理由が1人のためっていう時点で怪しさは満点だろう。


「そうならないように、いろいろ手回しはしていますよ」


パチッ


「ええぃ、忌々しい組織め」


パチンッ!


「これで、王手だ」
「……参りました、また負けてしまいましたね」
「お前は、ボードゲーム好きの割には本当に弱いな」
「これでも、勝とうとがんばっているんですよ?」


その努力は報われたことがないんだがな。
だがしかし、今日は随分と暇だな。
朝比奈さんと、長門はどこにいったんだ?


「朝比奈さんは確か鶴屋さんに連れられてショッピング、長門さんはおそらく図書館でしょう。あと、涼宮さんですが……これは貴方の方が詳しいでしょうね」
「最後の一言は余計だ」


ハルヒは今日は体調不良で休んでいる。
と、言うことにしておいてある。
詳細は禁則事項だ。
おそらく、こいつのニヤケ顔を見る限り、なんとなくの把握はしているんだろうな……
くそ、忌々しい。


「で、これで対戦成績は4勝0敗だが、まだやるか?」
「そうですね……次で最後にしましょうか、次こそ勝って見せますよ」
「上等だ、やってみろ」


こうして、俺と古泉は無駄な時間をたっぷりと使い、将棋をやり続けた。
結局、俺の対戦成績に黒星がつくことはなかった。
本当に弱いな、この局地限定超能力者は。


「さて、それじゃ、帰るか」
「えぇ、そうしましょう。次こそは白星を手に入れたいものです」
「まぁ、せいぜい頑張ってくれ」
「それでは、また明日の放課後に」


そう言って古泉は去っていった。
さて、俺もハルヒの見舞いにでも行きますか。















そんな、俺のちょっと普段より平和な日常だったりする。


















 後書き

深く考えないで書き上げた、『涼宮ハルヒの憂鬱』の二次創作。
よく部室でキョンと古泉クンがボードゲームをしているのを思い出して書きました。
いやまぁ、一部キョンの文章の深そうなところは脳内で妄想でもしたってください。
だって書きたくなったんだもんっ!!

それでわ、また、次回作にて。

            From 時雨  2007/03/23