情報連結開始、現行時間軸の凍結。
隔絶完了後、検索ワード「涼宮ハルヒ」および「彼」における身辺の変化。
該当件数、一万を突破、さらに絞込みをかける必要性がある。
……行動の変化原因、および敵性の存在について検索。
検索結果から先行検索内容に該当するものを羅列。


「……そう」


判断結果、情報統合思念体の急進派の可能性は小数点以下、古泉一樹が所属する「機関」に不審者判明、朝比奈みくるを含めた未来人の可能性、皆無。
……情報統合思念体に、能力行使の許可を求める。


―――――否決、現状を保留、パーソナルネーム【涼宮ハルヒ】の出方を観察せよ


「…………」



















The melancholy of Haruhi Suzumiya

宇宙人は、暗躍する

Second Story from Sigure Minaduki




























情報統合思念体にアクセスした結果、彼および涼宮ハルヒに行われていた現状は把握完了。
行動に移る事は否定され、暫くは様子見しなければならない模様。


「再申請開始」


再度、現状の改定に対する活動許可を求める。


―――――否決、現状を保留、パーソナルネーム【涼宮ハルヒ】の出方を観察せよ


……再申請。


―――――否決、現状を保留、パーソナルネーム【涼宮ハルヒ】の出方を観察せよ


現状では、当該空間の発生、および世界の改変の可能性がある。
それは此方にとって放置できない事象になりえる。
その対応策として私の申請は正当なものだと判断、よって、先の申告を改めて再申請する。


―――――現状の保留、しかしパーソナルネーム【涼宮ハルヒ】の動向により、行動許可を出す


……直接的な行動はしない。
しかし、それ以外の間接的行動に対する許可を要求する。


―――――肯定


先程から内部エラーの量が増大している。
涼宮ハルヒ、および彼に対しての活動の制限の制定を求める。


―――――制限の制定は肯定、しかし、それ以上の申請は否定


「…………?」


否定する理由の公開を求める。
現状としての最良とも取れる判断は、其方が下す可能性が高い。
そのため、こちらの要求が通る可能性は低かったはず。


―――――パーソナルネーム【涼宮ハルヒ】及び特定個体【彼】の行動は、此方としても要観察の必要性がある、特に特定個体【彼】は不可能とは言え、此方に対しての何らかの行動をしてくる危険性がある


その仮定は肯定、しかし、実質的に彼にはなんら力は存在していない。


―――――特定個体【彼】に力が無いのは肯定、しかし、特定個体【彼】はパーソナルネーム【涼宮ハルヒ】に多大な影響を与えることが可能


「…………」


―――――その影響が此方に取って是となるか否となるか、判断は不可能。さらに特定個体【彼】は親しい人物に対しての行動は飛躍的に高まる、制限を課し過ぎるのは得策ではないと判断


……了解、制限内での活動に従事する。
情報統合思念体との情報連結を解除、現行時間軸に回帰開始。


「…………」


当面の活動方針の確認。
涼宮ハルヒ、及び彼に対しての対応は、必要最低限に留める。
古泉一樹、朝比奈みくるに対する対応、特に変化無し。
他、検索結果に該当した個体について、今は特に対応しない、しかし涼宮ハルヒ、及び彼に対しての敵性と判断した場合、即時対応できる状況で待機。


「…………」


少なからず、私はこのSOS団という集まりに対して好意を抱いている。
特定個人に対しての感情はこの際、置いておく。
その好意を抱いている軍団に対して、今回のような行動に移った人物を、私は……情報統合思念体に作られた対有機生命体用ヒューマノイドインターフェイスとしてではなく、彼に認められた、「長門有希」として、許すことは絶対にしない。


パタン


開いていた本を閉じる。
今日の活動はすでに終了している。
後は帰宅し、情報の収集、及び、彼が頼ってきたときに備えて対策を整えておく必要がある。
少しでも、彼の力になりたいと思うのは、エラーでもバグでもない、私という「長門有希」としての個体の感情というものだと判断する。




















翌日、当該空間の発生は無く、涼宮ハルヒの精神は安定こそしてはいないが、乱れているという程のものでもない。
恐らく、涼宮ハルヒも彼の行動について思うところがあると判断する。


「……やぁ、長門さん」
「…………」


昼休み、いつも通り私が文芸部室で本を読んでいると、古泉一樹が現れた。
すでに情報として手に入れていたので、これといった応対をする必要性はないと判断。


「少し、聞きたいことがありまして」
「……そう」
「彼についてですが、貴女のことですから恐らくもう解っていらっしゃるのではないかと」


ゆっくりと、古泉一樹の方を向き、その表情を観察する。
普段の作成された表情ではなく、真面目と表現するべき表情。
元から回答は用意してある、ならばどのような表情をしていようと問題はない。


「……(コク)」
「……やはりそうでしたか……それで、貴女方が取る対応は?」
「……現状を保留、此方での該当者が完全に敵性判断された後、行動」
「……ふむ」


此方の対応を述べると、古泉一樹は何かを考えるかのように黙った。
それも数秒で終り、古泉一樹はこちらに向かって再び口を開いた。


「解りました、それでは、一つお願いがあります」
「…………?」
「貴女が動く場合、出来ればでよろしいので一言連絡をいただけますか?」
「…………」
「このような事態を作り出した者を、さすがの僕も許す気はありませんから」


どうやら、古泉一樹個人としては、彼の味方に着くというらしい。
「機関」の該当人物との繋がりがあるために完全に信用してもいいのか。
……問題ない、この程度の問題は私にとって障害にはならないと判断。


「……わかった」
「ありがとうございます、こちらでも何か情報が出ましたらお伝えしますか?」
「……(コク)」
「了解しました。それでは」


此方の準備としては、これで問題ない。
「機関」との最大のパイプラインとも取れる人物が味方についていると現状では判断できる。
ならば、利用できるものはしたとしても問題は無い。
情報統合思念体との連結は大抵の情報に即座に対応できるが、急進派からの妨害の可能性もあり、ある程度、慎重に進める必要性がある。
だが、これ以上、彼らに対しての悪意ある行動は、私という存在をかけても許さない。


「……覚悟」



















長門……むっず!
なんですか、普段の俺には使わないような文章を一生懸命考えましたよ!
でもどうやってもまとめ切れませんよ!
長門がモノローグやってる姿なんてそんなに思いつきませんでしたからっ!!

まぁ、これで一番と言っても過言じゃないものをクリアした気がします。
よし、後はとりあえずハルヒとみくるだな……
ハルヒはいいとして、みくるをどうやって動かそうか、難しいところですね。

と、いうわけで、次回につづく。

            From 時雨  2007/08/05