はうぅぅ…… どーしたらいいんでしょう…… キョン君があんなことを言い出すなんてぇ…… 「……これも、予定調和なんでしょうか……?」 未来からは何も聞かされていませんでした。 こんな時空震が発生してしまいそうな出来事を連絡し忘れるなんてことはなさそうですし…… と、いうことは今回のことに、私はほぼ介入できる事無く、進んでいくと言うことなんでしょうか。 でも……でも、こんなのって…… 酷すぎます…… The melancholy of Haruhi Suzumiya
未来人は、願う
Second Story from Sigure Minaduki 「それじゃ、今日は解散ね。また明日」 「あ、はぁいお疲れ様でしたぁ」 時空震は、起きませんでした。 よく、わからなかったんですが、キョン君が告げた一言は、涼宮さんだけじゃなく、私や長門さん、古泉君にもそれぞれ衝撃を与えたことは確かなはずです。 私なんて、言われたことを理解した瞬間、泣きそうになってしまいましたから。 「あ、涼宮さん」 「ん、なぁに、みくるちゃん?」 普段を考えると、今涼宮さんに声をかけるのは、自分で墓穴を掘っている行為だと理解しています。 それでも、今はなんとなく、声をかけなきゃいけない気がしたんです。 でも、声をかけたのはいいんですが、何を言ったらいいんでしょう……? えーっと、うーんと……あ、そうだ。 「え、えっと、明日、ちょっとクラスのほうで用事があるので遅れますね」 「そ、わかったわ。じゃあ終わり次第来て頂戴」 そう言い残して涼宮さんは部室から出て行きました。 本当に、どうしたんでしょう……? ちょっとだけ、本当にちょっとだけですが、八つ当たりをされても耐えるつもりでいたのですが。 「それじゃぁ、僕も失礼します」 「あ、はぁい、お疲れ様でした」 そんなことを考えているうちに、いつの間にか長門さんが、そして古泉君が次々と帰っていきました。 ……どうしましょう。 今の私では情報を取得するための権限が足りなくて、恐らくこれからどうなるのか、ということは教えてもらえないでしょう。 それでも、このまま事態が収束するのを待つなんていうのはできそうにないですし…… 「ふぅ……」 少しでも、涼宮さんやキョン君の役に立ちたいと思うこの気持ちはいけないことなんでしょうか……? 私は未来から来た人間、この時間軸には本来存在してはいない。 そんな私が、この時間軸に確かに存在している涼宮さんや、キョン君のために動くということをしていいんでしょうか…… 「少しだけ、情報を手に入れるために頑張ってみましょうか」 それがどんな影響を未来に及ぼすかわからない…… 未来人である私は、本来そういった行動は控え、極力観察、もしくは関与しないようにすべきなのに…… それでも、私は……力になりたい。 「でも、情報と言っても、閲覧権限はないでしょうね……」 どうしましょう、開始から行き詰まってる感じがします…… でもでも、日頃お世話になってる恩返しもしたいですし…… 「あ、そうです、協力者を探せばいいんです!」 こんな簡単なことを見落とすなんて、よほど私は混乱していたんですね。 こういうときに、確実なことをしてくれる人は……やっぱり長門さんでしょうか? でも……長門さん、少し苦手なんですよね…… 「そうも、言ってられませんよね?」 私の苦手意識より、今の最大の問題は涼宮さんとキョン君です! これくらい我慢できないようじゃ、涼宮さんたちのお友達、SOS団の一員としていられなくなりそうな気がします。 よぉし、そうと決まれば明日長門さんに会ったら、これからのことを聞いてみましょう。 あまり役に立てたことが無い私ですが、もしかしたら何か思いついて教えてくれるかもしれません。 「結局、他力本願になってしまうのは、とても情けないことですけど……」 とりあえず、これから一度未来に戻ってみましょうか。 何か、私でも調べられることがあるかもしれませんし…… 「ふえぇ……疲れました……」 私の感覚で、未来に戻ってから三日間、ずっと今の私の権限で調べられる今回の出来事についてまとめて来ました。 私の時間間隔で三日と言っても、TPDDの前にはほんの1時間足らずにできてしまうんですけど…… 「ある程度、予想はしていましたが、あんまり調べられませんでしたね……」 結局、私が見つけることができた情報といえば、この事件の発生時期、期間、事件に関わる存在、そして大まかな結末。 まさか、大まかとは言え、結末が私の権限で調べられるとは思いませんでしたけど…… でも、それでも仔細までは調べられませんでした…… とりあえず、これを長門さんにもっていけば、また何か新しいことがわかるかもしれませんし、落胆しないで頑張ってみましょう! 「でも……今日は、遅れてしかいけないんですよねぇ……」 先日付いたちょっとした嘘。 用事があって遅れると涼宮さんには言ったんですけど、まさか本当に用事ができちゃうなんて…… うぅ、歴史学の先生、ひどいです。 「やーやー、みくる。今日も元気にご奉仕活動に行くのかい?そりゃ結構!みくるのあのメイド姿は似合ってるもんね!ついつい見惚れちゃうくらいに似合ってるっさ!」 「あ、鶴屋さん」 歴史学で使った教材、そんなに重いものではないんですが、量が結構あったりするのでそれを準備室までしまうように言われてしまいました…… とぼとぼと、それを運んでいると、後ろから声をかけられました。 私に声をかけてきた相手、それは鶴屋さんでした。 「およ、何してるんだぃ、みくる。見たところ教材を運んでいるようにしか見えないけど、もしかしてあれかい?歴史学のあの先生に片付けでも押し付けられたのかい?」 「はいぃ……頼まれると断れなくて……」 「まぁ、それがみくるのいいところだもんね!しょうがないなぁ、この鶴にゃんが手伝ってあげるっさ!ぱぱっと片付けちゃおう!」 そう言って、鶴屋さんは私が持っていたものの半分を受け持ってくれました。 「あ、ありがとうございます」 「なんのなんの、みくると私の中じゃないさ!それより、用事があるにょろ?」 「え?」 数歩先に言っていた鶴屋さんは、くるりと振り返ると、私に向かってこう言ってきました。 それが予想外だったために、私はついつい聞き返してしまいました。 「今日はみくる一日そわそわしてたもんね!おそらく何か用事があるんじゃないかなって思ってたのっさ!それに、歴史学のあとに片付け言い渡されたときもどこか沈んだような評定してたにょろよ」 そんなに、そわそわしてたんでしょうか。 ちょっと想像すると恥ずかしくなってきました。 「ほらほら、用事があるんならぱぱっと終わらしていった方がいいにょろよ!もしかしたら、この瞬間にもチャンスは消えちゃってるかもしれないっさ!」 「……そうですね」 昨日の今日で、涼宮さんが素直に部室の方に足を運んでくれるかもわかりませんし。 長門さんや古泉君ももしかしたら裏で何か動いているのかもしれません。 それなら、早く片付けてしまって、どちらかにコンタクトを取った方がいいですよね。 「もし、みくるがどうにもできないようなことが何かあったら、この鶴にゃんも惜しみなく力になるっさ!ささ、ぱぱっと終わらそうっ!」 「はい!」 鶴屋さんのおかげで、そんなに時間をかけることなく、片付け自体は終わる事ができました。 鶴屋さんにも、いろいろお世話になってばかりですね。 私も、少しでも頑張らないと。 「ありがとうございました、鶴屋さん」 「いいっていいって、気にしない気にしない!それじゃみくる、鶴にゃんは帰るっさ!また明日ねぃ〜!」 「はい、また明日」 ふぅ、やっと終わりました。 それじゃぁ、急いで部室の方に行きましょう。 長門さんか、古泉君と連絡を取らないと。 「少しでも、力になれればいいんですけど……」 私が思うのは、ただそれだけなんです。 それすらも、許されないのでしょうか? と、いうわけでみくる編お送りしました。 いやぁ、みくるって慌てるだけでなんか活躍できるかなぁ…… とか、そんなこと悩んだんですが、できそうにないですよね。 とりあえず、多少は動いてもらおうと思いつつ、まぁなんとかなるかと。 これでSOS団団長を除く全員はとりあえず動かしました。 鶴屋さんとか谷口とか出そうか考えてますけど、その場合タイトルどうするかなぁ。 でも、出せたら出せたで面白いかもしれない。 ちょっとだけ、考えておこう。 と、いうわけで、次回につづく。 From 時雨 2007/08/25 |