第11話、始まります…ですが、前回および前々回について至らない点が発覚しました。
それの補足をこの11話の冒頭をもってさせていただきます。
補足の内容は相沢健二、夏美の容姿をあまりにも読者のみなさまの想像に任せてしまうことになったので、それの説明をさせていただきます。
 
相沢健二……茶色の髪に黒目、髪型は片方の目だけが隠れるくらい片寄って伸びている。
        外見は祐一似、見た目は20代なのだが、実は40代に近い。(38歳)
        服装は軽装の長袖のTしゃつにジーパンが一般。
        長剣を常備している。近距離戦闘型。
      
 
相沢夏美……薄い紫の髪でショートカット。目の色は蒼に近い色をしている。
        顔などは秋子に似ている。健二同様に若くみれるが、健二と同じ年齢。
        服装はタートルネックにフレアスカートでいることがほとんど。
        主に魔法を使うので短剣のみを装備している。遠距離戦闘型。
 
以上、補足でした。
それでは本編をどうぞ。
 
 
 
 
− ○ − ○ − ○ − ○ − ○ −

 
 
 
 
「…な、なんで、あんた等がここにいるんだ!?」
「遅いぞ、祐一。」
「あんまり待たせるなよな。」
「やっほー、兄さん。元気してた?」
「良いから答えろよ!母さん、父さん、千尋!」
 
そう、俺の家族がいた…









































俺の動揺とは裏腹に家族の連中はかなりのマイペースを保っていた。
 
「親が何年も姿をくらましていた自分の子供に会いに来て何が悪いのよ〜。」
「そうそう、何年も連絡一つよこさねぇ奴にな。」
「私はなんとなくよ♪」
 
もはや絶句するしかないだろう…
相沢本家の中でも最強の人物が3人も揃ってしまっている。
この3人がいれば街1つ地図から消すのもわけないんだから…
しかも、絶対に嘘をついている。台詞に矛盾した部分があったからな…
 
「…んで本当の目的は何だ…?ただ顔を見に来ただけなら前ので十分なはずだろ…」
「あら〜?もしかしてバレちゃってる?」
「う〜む…この前のあれはやはり止めておくべきだったな…」
「私は普通に顔を見に来ただけなんだけど…学園でもいまいち会えないしさ〜」
 
父さん達の考えくらい少し考えればわかるっての…
ただでさえ今の俺は相沢本家の異端児になってるんだから…ただ会いに来るだけなら本家の無能な奴等の猛反対もあるし、それを無視するほど親ばかじゃない、だから来れない…いや、来るはずがない。
そして、とりあえず千尋の言い分は無視だ。ヘタに構うと泥沼に引き込まれる…
ただでさえこいつの能力はやっかいなのに性格もこの上なくやっかいだ…
 
「う〜…兄さん、わざと無視してるでしょ…」
「当然だ…お前に構うとろくな事が起こらない…」
「それは被害妄想だよ〜」
「ほう……なぁ、千尋。昔、崖の途中に生えていた花を無理矢理取ってきてといって俺を突き飛ばしたり、料理の実験と称して毒キノコを俺に食わせたのが全て被害妄想だと言うんだな?」
 
さすがに毒キノコに至っては死ぬかと思った。
笑いだけから猛毒のキノコ、果ては幻覚作用を引き起こすのまで食わされたからな…
 
「う〜ん、おいしいかと思ったんだけどねぇ…綺麗だったし。」
「そう思ってるなら自分で食えよな…」
「そんなことしたら危ないじゃない♪」
 
お前は兄がどうなっても良いのか?」
 
「大丈夫よ、兄さんだもん。」
「…何で考えていることがわかった…?」
「相変わらずねぇ、祐一。その癖って一生取れないんじゃない?」
「わかりやすくて良いと思うけどな。さすが俺の息子、いらんとこまでしっかり似てきやがる。」
 
またか?またなのか!?
これでこの街に帰ってきて何回目だよ…
それまではそうでもなかったんだけどなぁ。
 
「はぁ、まあいいや。んで、本当の用件は?」
 
母さん達の座っているソファーの真向かいにある椅子に深く腰掛けて話を聞く体勢に入る。
どんなろくでもないことを言ってくるのやら…
 
「そうね、そろそろ始めましょうか。」
「用件ねぇ…簡単に言うと戦って探してこい。んで、ある物を採ってこい。」
「…………は?」
 
なに言ってんだ、この親父は…ついにぼけたか…?
戦うって何とだよ…しかもなにを探して採ってこいというんだ…?
 
「おとーさん…さすがにそれは言葉を省きすぎだよ…」
「ん〜そうか?俺としては、簡潔に言った割にはなかなか核心をついているつもりなんだが?」
「ザンネンな事に核心も何もついてないわ。ただ戦ってこいってしか言って無いように聞こえるじゃない。」
「そうかぁ?ふむ…」
「ま、いいわ。とりあえずあたしが説明するわね。…とりあえずこの依頼の内容は、祐一にある場所に生えている植物、正確には霊薬なんだけどね、それを採ってきて貰いたいの。出発は4日後、期限は多くて3週間。採ってくる量は任せるわ。」
「はぁ…随分とまたのんきだな…」
 
薬草の知識ならそれなりにはあるから良い、それは自信を持って言えることだ。
しかし腑に落ちない。
なぜに期間が設けられる?採ってくる量の上限がないのもおかしい。
しかも、その期間が異様に長い…ただ採ってくるだけなら場所によっては1週間もかかることはないはずだ。
 
「この仕事…俺1人で十分だと思うが…?」
「話は最後まで聞くものよ、そして、その採取には荷物持ちついでに数人連れて行くこと。これはあくまでその人達を鍛えるっていう意味合いで考えて。強くして上げたい人の心当たり、あるんじゃないの?」
 
……確かに。
鍛えたら強くなりそうな人材がこの街には多くいる。
そういう気配がところどころで感じられるからな。
 
「まぁ…な。」
「そしてもう一つ、千尋もその中に連れて行ってほしいのよ。」
「なっ!?」
「えぇ!?」
 
なに言ってるんだ!何でこいつを…
千尋を連れて行く必要はこの仕事では全然ないはずなのに…
 
「この頃の千尋ったら日に日に気配に鈍感になってるのよね…」
「う…あぅ…」
「この前も俺に背中をとられたしな…さすがにこのままじゃ拙いだろ。」
「あぁ…それは確かに鈍ってるかもな…」
 
俺の親父は気配を隠すことはあまりしない。そんな必要がないほど戦闘に関してだけは最強だからだ。
ただ、俺達家族に近づく時だけ気配をできるだけ抑ようとする。これは本人曰く「家族のふれあいのためだ!」らしいが…
まぁ、そういうことを抜いて考えたとしても、親父は気配を殺すのが恐ろしくヘタだ。
そしてかならず、背後に回る前に俺達に攻撃されるのがいつのもパターンってわけだ。
そんな親父に背後を取られるとなると、もはや鈍さは危険地帯、それを治すには荒療治しか残っていないというわけだ。
 
「母さん達の考えていることは、実戦による勘の再生か…?」
「ま、そう言う事ね。」
「ちょっと待ってよー!私はまだ行くなんて言ってないよー!」
「これは、」
「もう、」
「決定事項よ♪」
 
どうでもいいが、上から俺、親父、母さんの順番だったりする。
 
「そんなぁ…」
「気にするな。どんな敵であれ、お前の能力があれば大抵は楽に片づくだろ?」
「まぁ、それはそうなんだけど…この頃使ってないのよねぇ…」
 
先に教えておこう、千尋の特殊能力、その名前は「邪眼」。
発動したその瞳を見てしまった者は、千尋に意識を奪われる。簡単に言えば一種の洗脳術だ。
邪眼に魅入られし者は、その術者の操り人形のようになってしまう。
これは魔法的防御力、または精神力が一般人よりよほど高くないと大抵は防げない。
 
「あれはあんまり頻繁には使うなよ…只でさえやっかいなんだから…」
「この頃は使ってないってば、昔は暇なときには使ってたけど…」
 
ちょっと疲れたような声を出して言っておく。
過去にこいつにはじゃれ合いと称して、邪眼に魅入られた何人かに囲まれたことがある…
全員が筋骨隆々の男だったから汗くさかった…
思い出すだけで泣きたくなってきた…
 
「なに!?それは初耳だぞ!」
「あら、私も初めて聞いたわ。」
「あ、やば…」
「(アホ…)……ところで、千尋。ミリアムは元気か?」
 
内緒で使用していたらしいな…母さん達が耳ざとく反応してる…
このまま放っておくと母さん達のお仕置きタイムだった…
だが、母さん達のお仕置きは地獄を見るより怖い。
とばっちりを受けるのはゴメンだ…そのためにさりげなく話題をすり替えることにする。
 
「え?あ、うん。元気みたいだよ。」
「表に出せるか?」
「祐一…話題をすり替えたわね…」
 
もの凄いジト目で見られているが気にしないでおこう…俺は気にしない…気のせいだ…
いま、俺は千尋に「表に出す」って言ったけど、これは千尋のもう1つの能力のことだ。
それは俺達とは違い、契約した異形を自分の意志で出現させることができるんだ。
俺達、特に俺は暴走したとき、もしくは俺が意識を失ったときに、姿は変わらないが意識だけが出てくるらしい。
ようするに俺の姿をしたルシファーってわけだ。
 
「ちょっと待っててね…」
「おう。」
 
千尋が目を閉じて意識を集中する。
すると俺達のいる応接間という空間に新たな気配が生まれ…いや、出現したといった方が正しいのか…
それは徐々に視認できるようになり、最終的には人型になって安定した。
 
「………久しぶり、かしら?祐一…大きくなったわね…」
「あぁ、久しぶりだな、ミリアム。」
「そうね、7年ぶりだもの…成長するはずね、あなたの中の力も少しずつ操れるようになっているようだし…」
「さすがだな。一目見ただけでそこまでわかるか…」
「これでも同属なのよ、そうは見えないでしょうけどね。」
 
そう言って妖艶な笑みを浮かべた…やばい、さすがに名雪とは色気が違う…
この場に現れた異形、ミリアム。その姿は普通の人間とほとんど変わらない。
髪は赤色のロングで、身体に限りなくフィットした服装でマントのようなモノをはおっている。
そしてミリアムには人型の異形として唯一翼がない。
その代わりに、他の奴等が使えない唯一の能力、「邪眼」を持っているんだ。
 
「さあて、そこの兄妹。それと懐かしい人との再会はそれくらいにしといてもらおうかしら?」
「さすがに本題を進めないとな。さっさと帰って茶でも飲みたいんでな。」
「あぁ、そうだな。」
「ねぇ、ミリアム。そろそろ戻ってくれない?このままだといまいち力が出せないんだから…」
「あら、残念ね…久々に外で遊んでみたかったんだけど…」
 
何をする気だったんだ?
多分道行く人に邪眼でも使う気だったんだろうけど…
 
「とりあえず、ミリアムは千尋の中に戻ってくれ。それから母さん、その採ってきて欲しい薬草の名前は?どこに生えているんだ?」
「薬草の名前は『ルナ・フォース』(※1)、場所はこの街から40キロほど離れたところにある『フレイル』って山よ。」
「俺達のような奴等からは『異形山』と皮肉混じりに呼んでいるがな…」
 
ルナ・フォース…確か霊薬の中でも効果が高く、数が少ないって話だな…。
月の力の守護を受けている万病に効く薬草か…見てみたいかも…
そして…異形山…ね。
やつが現れるかも知れないな…行ってみる価値はありそうだ…
やつは必ず俺が…俺達が仕留めてやる…
 
「兄さん…その微妙な冷笑というか…笑顔が怖いんだけど…」
「ん?俺そんな顔してたか?」
「結構怖かった…獲物を見つけた肉食動物のような、目標を見つけた殺人者のような…」
 
酷い言われようだな…そんな顔してたかなぁ?
たしかに目標はできたけど…
 
「まぁまぁ、細かいことはいいから。それで、祐一。どう?この依頼受けてみる?」
「あぁ、喜んで受けさせて貰う。人数はこっちの任意で構わないのか?」
「おう、自由に連れて行くといい、だが半端なレベルのヤツなら足手まといだがな。」
 
あいかわらずきっぱり物事を言う親父だ。
まぁ、それがいいところでもあるんだろう…
 
「3日間あげたんだからじっくり選別してみなさい。」
「そうするよ、千尋は基礎をやっておけよ。お前が足手まといになったら問答無用で置いていくぞ。」
「あ〜…兄さん酷い…」
 
恨むなら自分の修行不足を恨んでくれ、俺はそれなりに真面目に鍛錬してるからな。
この街に来てからは結構サボっているけど…
ちょっと自分の怠慢さに反省していると頃合いを見計らったのか石橋が入ってきた。
 
「ご両人、依頼の件は済みましたか?」
「お、石橋センセ。」
「えぇ、おかげさまで。ご苦労おかけしました。」
「いえいえ、これも教師の仕事ですから。」
 
なんか事務的な挨拶してる…
まあいいか…とりあえず俺は人数の選抜に明日から入らないと…どんな奴がいるか楽しみだ。
だけど簡単には済まないだろうな…嫌な予感がまだしてるよ。
 
「んじゃ、とりあえず俺は戻るよ。選抜のための準備もしないといけないしな。」
「おう、頑張れよ。」
「量はいくらでも良いから♪」
「わかったわかった。それじゃ、千尋。4日後に北門にいろよ。」
「はぁ〜い…」
 
さて、まずは舞達あたりでも探しに行きますか…
とりあえず、どこにいるんだろう…?


 

 


 
   用語解説
 
 
1・ルナ・フォース(月下草)
   現存数が限りなく少ない霊薬。
   どんな万病にも効果があるらしいが詳しいことは不明。余りにも数が少ないため調査されにくい。
   山の奥地の月の光が射し込む場所にのみ生えているが、そのまわりでは無数の異形が住んでいる。
   そのために相当の実力者でも少しの量を採ってくるのが精一杯なのである。
 
 
 




それとなく雑談会



  時雨  「第11話完成です!ゲストはまだ本編に出てきていない斉藤君。」

  斉藤  「どうも、斉藤です。」

  時雨  「たぶん、もうすぐ君の出番だよん。一弥達と同時に出そうと考えてるからね。」

  斉藤  「やっと出番が来るのか…」

  時雨  「でもなぁ…うぐぅも出さないといけないんだよなぁ…」

  斉藤  「少しずつやるんだな…どうせ更新が遅いんだし。」

  時雨  「……痛いところを…どうせいろいろあって更新が遅れてるよ…。」

  斉藤  「ま、頑張るんだな。」

  時雨  「りょーかい。多分君は某サイト様のに習って剣も多少使う、槍使いになるよ。」

  斉藤  「槍ね…まぁ、いいか…」

  時雨  「一弥と戯れて負けてあげてくださいw それがあなたの宿命です♪」

  斉藤  「俺の見せ場も用意してくれるんだよな?」

  時雨  「当然、1キャラに1場面は用意できるようしようと考えてるよ。」

  斉藤  「それならいいさ。」

  時雨  「さぁて、そろそろ雑談会もお開きにしようかね。」

  斉藤  「あぁ、そうだな。とりあえずもっと早く更新できるようになるんだな。」

  時雨  「うい〜っす、できるだけ頑張るよ。FFの方の製作にも入らない…テスト勉強もしないと…」

  斉藤  「忙しい奴だ…。 」

  時雨  「自分でも自覚してるさ……(汗 」

  斉藤  「じゃあ、今回はここまでだ、時雨に対して寛容な心で接してやってくれ。」

  時雨  「ガンバリマ〜ス(カクカク言葉)」







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