「んじゃ、とりあえず俺は戻るよ。選抜のための準備もしないといけないしな。」
「おう、頑張れよ。」
「量はいくらでも良いから♪」
「わかったわかった。それじゃ、千尋。4日後に北門にいろよ。」
「はぁ〜い…」
 
さて、まずは舞達あたりでも探しに行きますか…
とりあえず、どこにいるんだろう…?









































「…………」
 
…………見当つかねぇ。
そもそも舞ってどこらへんに良くいるんだよ……
 
「さぁて、どこ行ってみるかな……」
 
ふと、外を見てみる。以前、異形「フェンリル」を倒した公園が見えた。
……ふむ。
今の時間は放課後。
大抵の学生はもう帰っているはず。
今時の学生がすぐに家に向かう可能性は低い。
と、いうことはどこかに遊びに行くと考えるのが普通だ。
商店街ってのが一般的かも知れないが、公園というのも穴場かも知れない……
こんな寒い時期に遊びに行く奴がいるかは疑問だけどな。
 
「行ってみるか。このまま悩んでても仕方がないしな。」
 
とりあえず俺は移動してみることにした。
あ〜ぁ、探すのがめんどくさいぞ……
 
 
 
−§−§−§−§−§−§−




「………はぁ、意外に遠かったし寒いぞ。」
 
前に名雪に待たされた時間に比べれば大したことはないが、それでも寒いものは寒いんだ。
まぁ、それはおいといて、とりあえず一回りしてみないとだめか………。
 
「やあぁぁぁ!」
「……まだ甘い。」
「くそぅ、たあぁぁぁ!!」
「あはは〜、舞、凄いね〜。」
 
ん?
どっかで聞いたことのある声がしたようなしないような……
奥の広場か……
 
「はあぁぁぁ!たぁ!!」
 
カキンッ
 
「……まだまだ、遅い。っふ!」
 
シュッ!
 
「っく……まだまだぁ!!連続斬り!!」
 
カキン、キン、キンッ、キン、ガキッ!!
 
奥の方に進むに連れて現状が見えてきた。
丁度良く探してた舞と、佐祐理さん、それと見知らぬ少年と男がいた。
舞と少年は技でも競っているんだろうか……?
なかなか良い筋しているように見えるな。
だけど……
 
「……なかなか良い太刀筋、でも綺麗すぎる。」
「っく……」
 
俺も同感だ、型に沿った綺麗な太刀筋だが、人間相手くらいでしか通じないだろう。
異形の行動は慣れていないと読めないし、こっちの攻撃は生半可なモノだと避けられる。
それを考えるとあの少年は、いままで試合しかしたことがないように思える。
 
「太刀筋が綺麗だとどんな敵にも攻撃が読まれやすい。なら読まれないくらい早く撃ち込む。」
「え?」
 
シュンッ!
 
「うわぁ!!」
 
舞の攻撃(とはいっても峰打ちだけどな)を喰らって少年が後ろに飛ばされた。
それにしても相変わらず舞は早いな…
 
「いたたた……また負けちゃった……」
「大丈夫?一弥。」
「大丈夫だよ、姉さん。これくらい慣れっこさ。」
 
慣れっこね……何回か手合わせをしたことがあるのか。
確かに舞以上の剣術の練習相手はそうはいないよな。
まぁ、口数が少なくて見て盗めって感じになるんだけどな…
 
「……さすがだな、舞。あの1瞬で5発も撃ち込むなんてな。」
「……ザンネン。」
「ん?何を残念がってるんだ?」
「祐一に見抜かれた……」
 
そりゃあね……今の動体視力に勝る攻撃できるのは煉獄の脳天気王サタンあたりの連中だろうからな。
まぁ、俺がいたことには気づいていたってのは気にしないでおこう。
気配を隠してたわけじゃないから擬闘中に気がついたんだろう。
 
「ま、舞もまだまだってことだ。」
 
少し笑いながら言ってやると、舞の頬が少し膨れたように見えた。
その仕草がおかしくて少し苦笑してしまった。
舞と話し込んでいる内に一弥の方に行っていた佐祐理さんが俺の存在に気がついたようだ。
 
「はぇ?祐一さんですか?」
「……姉さん、この人は?」
「………」
 
佐祐理さんを姉と呼んでいる少年と、ちょっと離れたところの木の幹に身を預けている男が俺のことを見ていた。
っていうか、あの男どっかで見たような気がするんだけどな……
 
「おう、祐一さんだぞ。んで、佐祐理さん。そこの男と少年は誰ですか?」
「はい、えっとですね。一弥、祐一さんに自己紹介して。」
「え?あ、はい。えっと、倉田一弥といいます。佐祐理姉さんの弟です。」
 
ほう、佐祐理さんの弟か……
礼儀正しいところとかはそっくりだな。
 
「そっか、よろしくな倉田君。俺は相沢祐一、佐祐理さんと舞の1つ下だ。」
「じゃあ、僕の1つ上ですね。それと、僕のことは一弥で構いませんよ、相沢先輩。」
「ほう、じゃあ俺のことは『祐兄さん』とでも呼んでくれて良いぞ。」
「え……?」
 
ってなんだ?冗談で言ったつもりだったんだが……
もしかして本気に取ったか……
 
「じゃあ、祐兄さん……」
「ぐはっ!」
 
本気で取ってしまった…祐ちゃん一生の不覚。
いまさら冗談だと言えるような状態じゃない…
一弥…頼むからそんな嬉しそうな顔しないでくれ…
 
「あはは〜、一弥昔からお兄さんが欲しいなんていってたもんね〜。」
「うん、兄さんができたみたいで嬉しいよ。」
 
………まぁ、いいか。
あんなに喜んでるんだし。
 
「んで、そこの木の幹に身体を預けているおたくは誰だ?」
「………相沢、クラスメイトぐらい覚えておけよな…」
「へ?」
 
こいつ俺のクラスメイト?
こんなやついたっけ……?
 
「…まぁ無理もないか。こうして話すのは初めてだしな。」
「はぁ…悪い、全然わかんねぇ。」
「俺の名前は斉藤、斉藤和馬だ。属性は『木』、今の使用武器は見ての通り剣だ。」
「そうか、俺のなま「知っている。」………なかなか素早い突っ込みだ。」
 
まぁ、多少は期待していたから良いか。
とりあえず本題として。
 
「んで、ここで何をやっていたんだ?」
「一弥の剣技の特訓ですよ〜。」
「そういうこった。」
 
ほう、剣技のほうはなかなかだと思ったが…
じゃぁ、怪我したときの治療が佐祐理さんの担当で、実技が舞と斉藤か?」
 
「はい〜、その通りです〜。」
「……久々だけど、もしかして。」
「……声に出てた。」
 
はぁ、この癖も久々だな。
まぁいいか、もう今更って感じだしな。
 
「じゃあ、一弥。 剣術の練習続き始めようか?」
「うん、わかった。」
「……なんなら俺も手伝おうか? 基礎的な剣術くらいしか教えられそうにないけど。」
「本当!祐兄さん!!」
「はぇ?そうですね、手伝っていただいて良いですか?」
「かまいませんよ。」
 
誰かに教えることで学ぶこともあるって師匠が言ってたよな。
剣術の基礎の復習ついでに丁度良いだろうし。
 
「じゃぁ、なにをするかな………」
「……防御」
「ん? なんて言ったんだ、舞。」
「……防御は必要。」
 
たしかに、防御がきちんとした形になっていれば、一般人やそこらのヤンキー程度相手では充分いける。
それを巧く応用できれば、一転して反撃の好機になるからだ。
 
「なるほど。一理あるな。」
「はい、わかりました。」
「……じゃぁ、祐一と斉藤で見本見せる。」
 
……はぃ?
今なんて言いました?
 
「なんで俺と斉藤なんだ?」
「同感だ、こいつ相手に防御なんて出来そうにないぞ。」
「それはですね〜、多分舞は祐一さんの防御を一弥に見せようとしてるんですよ〜。」
「なるほどな、相沢の回避なら見本になるモノがあるかも知れないしな。」
 
そういうことか、斉藤相手に模擬戦やるのかと思ったぞ。
まぁ、そんなこと出来そうにないけど……
 
「でも、それなら俺と舞の法が良いんじゃないのか?」
「はぇ〜、そうしたらきっと速すぎてついていけないんですよ〜。」
 
……納得
確かに俺と舞の反射速度は常人を逸しているかも知れない…
 
「そういうことなら、やってみるか。」
「はい!お願いします、祐兄さん。斉藤さん。」
「わかった。……相沢、俺は本気で行くぞ。」
「ふ〜ん、おもしろいじゃねぇか……」
 
斉藤の本気、どの程度かわからないが学園で見た奴等よりは遙かに強い。
それでも、俺の場合カウンター喰らわせてしまいそうだからなぁ。
力の解放はできないよな……
 
「いいぜ……来い。」
「んじゃ、お言葉に甘えて……っせ!」
 
初撃、剣を抜くのと同時に左腕の方から胴体をめがけて横に薙いできた。
とりあえず一歩下がって回避。
そのまま少し距離を置く。
 
「さすがにこれは避けたか。」
「まぁ、このくらいはな。」
「なら、これはどうだ!」
 
連続切り、単調に見えつつも突きを多く含み確実に急所を狙ってきている。
ここまでとは予想外だ、かなりいい腕をもっている。
 
「やるなぁ…この速度、一般人じゃそうそうだせないぞ。」
「……全部回避してやがるお前の言える台詞じゃねぇ……っよ!」
「わぁ…斉藤さんって、ここまで速かったんだ…」
「……今まで手を抜いてた。」
 
舞がさりげなく何か言ってたようだがするけど気にしないでおこう。
でも、斉藤の剣術は微妙に違和感があるな。
なんだ、この感じは……
 
「考え事してる余裕はやらねぇぞ!ッハァ!!」
「むぅ……考え事する時間くらいはくれよなぁ。」
 
再び連続切り、やはり確実に人体の急所を突こうと狙ってきている。
だけどこの違和感は消えない…
……ん?突く…?
もしかして……
 
「斉藤、お前ってもしかして剣術はおまけみたいなもんだろ?」
「げ…なんでわかったんだよ。」
「やっぱりな〜、なんか違和感があったと思ってたんだ。実は槍術の方が得意だろ。」
「ったく、それを見破られたら、俺にはもう手がない、降参だぜ。」
 
ま、ちょっとした運動の代わりにはなったかな。
あ……そう言えば回避を見せるのが目的だったっけ……?
これじゃ見本になってねぇよな…と思いつつ一弥の方に目を向けると。
 
「え〜っと、剣が横から来たときはバックステップでかわして…」
 
……なんかやってた…
微妙に舞がスローペースで斉藤の剣筋を真似してるし…
それにあわせて俺の回避を一弥が真似してるし…
いくら舞のスローと言ってもそれでも普通よりは断然速い。
それを普通に避けてるって事は何度も手合わせしてる証拠か…
 
「連続切りをお願いします、舞さん。」
「……わかった。」
 
シュンシュンシュン!!
 
「よっ、っほ、っと、とと、わぁ!」
「……おしい。」
「あはは〜、惜しかったねぇ一弥。あと1発避ければ完璧だったのに。」
 
ほのぼのしてるだけかと思ったけど……マジかよ。
剣筋を完璧に真似している舞はともかく、俺が特に気になったのは一弥の方だ。
ほぼ完璧に俺の回避を真似している。
これはもしかすると…人間の中でも後天的に手に入る“あの能力”を、一弥はもっているかもしれない…
試す価値はある…
 
「一弥、ちょっといいか?」
 
 
 




雑談会



  時雨  「久々に書き終えれた!KANONファンタジーっぽいSS第12話完成!」

  名雪  「お疲れさまなんだぉ〜。」

  時雨  「今回のゲストは万年ネボスケネコ好き娘こと、水瀬名雪嬢にお越し頂きました〜。」

  名雪  「後書き初出演だぉ〜。」

  時雨  「いつも通り精神の8割をどっぷりと夢の世界に突っ込んでおります。」

  名雪  「失礼だぉ〜、ちゃんと起きてるんだぉ〜。」

  時雨  「嘘だな、まぁ俺は名雪より香里派なんだからどうでもいいだけど…」

  名雪  「酷いぉ〜、その発言が全世界の私のファンを敵にまわすんだぉ〜。」

  時雨  「自分の好きなキャラを応援して何が悪い!」

  名雪  「うぅ〜…」

  時雨  「さて、唸っている間に次回作の内容をちょこっと…」

  名雪  「うぅ〜!」

  時雨  「祐一が目を付けた一弥に存在するかも知れない“能力”!」

  時雨  「果たして一弥は本当にそれを持ち得ているのか!」

  時雨  「次回予定作KANON〜紅眼の魔剣士〜第13話『神眼』にそれなりにご期待!」

  名雪  「うぅ〜〜〜〜!!!!」

  時雨  「ほれ、そろそろ落ち着け。」

  名雪  「イチゴサンデー! 」

  時雨  「祐一があとで百花屋で奢ってくれるそうだ、だからしっかりラストを決めてくれ。 」

  名雪  「うん、わかったよ〜♪え〜っと、『これからも、時雨のSSを見てやってください』(カンペ)」

  時雨  「ま、そういうことで。次回もよろしく!(俺は何も言ってねー! by 祐一)」







={Return to KANON SS}=