たしかに鍛えるだけのつもりなら多少の無理はするかもしれないけど… 本人達の希望を優先しますか。 「じゃぁ、また今度違うときに特訓でもするか。」 「その時はお願いします。」 「次は当ててやるよ。」 「上等だ。」 さて、次は誰を捜そうか…… ![]() 「と、いうわけで俺は今、商店街にいる。」 ………ヒュゥ〜 …寂しい、突っ込んでくれる人がいないとこんなにも寂しいモノだったのか…… 香里、天野…いまほどお前等の存在を必要と感じたことはないかもしれないぞ… (それだけのためだなんて、そんな酷なことはないでしょう。) ……この頃は電波でも流行っているのか…? 「と、まぁ冗談はおいといて。何で俺は商店街に着いたんだろう……?」 ちなみに学園から一番近いのはこの商店街だ。その次に近いのが公園、水瀬家となっている。 要するに俺は学園のある方に戻ってきた…らしい。 俺の方向音痴も大した物かも知れないなぁ… 「まぁ、今日はもうここで探すので時間が限界か。秋子さんも晩飯用意して待ってるだろうし…ま、誰かいないか探してみるか。」 公園で意外に時間を消費したため今は日が沈み始め、夕焼けであたりが赤く染まってきている。 はぁ〜…こんな時間に誰かいるのかなぁ…… 「う〜ん…適当に歩いてればなんとかなるか。」 誰がいるのかも見当が付かないので適当にブラブラと周りの店を見ながら歩いてみる。 なかなか良い店が揃ってるのかも知れない、さっきちらっとみた本屋に良さそうな魔導書を見つけたくらいだし。 いい本を見つけても持ち合わせが無いんじゃどうしようもないよなぁ… 「……やっぱりこのくらいの時間じゃ知り合いに会う確率は低いかなぁ…」 とりあえず今日は舞達だけにでも聞けたから良しとするか。 そう思ってその場から踵を返して帰ろうと歩き始め……ようとしたら後ろから何かが急接近している気配を感じ取った。 「(……何だ?)」 疑問に思って振り返ってみると、 「うぐぅ〜っ!!そこの人!どいてどいてーっ!!」 「…あ?」 先程までの俺の視界では見かけなかった赤いカチューシャをして、紙袋を大事そうに抱いた小学生らしき子供が走ってきているのが見えた。 しかもご丁寧なことに完璧に俺にぶつかるようなコースを取っているようだ。 「………」 「うぐぅ〜!!」 試しに2、3歩横にずれてみたらあっちの子供もそれに合わせてコースの修正をして来る。 どいてと言っているが実はぶつかることを狙ってるんじゃないのか…? とりあえず先手を打っての回避は不可能──まぁ、できないことはないんだけど──と判断したためにその場で立ち止まっておく事にした。 「どいて〜っ!!」 今なおペースを落とすようには見えない子供は相変わらず俺に直撃のコースで突っ込んできている。 俺は内心で間合いを計りながら行動するチャンスを狙っている状態だ。 「(……3…2…1…今だっ!)」 ガッ! パシッ! グルンッ! トンっ 「っふ、極めた…」 「え?…え?」 何が起こったのか、それを説明しよう。 まず走ってくる子供が俺のぶつかる刹那、俺は人が目で追いきれない速度で横に移動。 (力の使いどころを間違っている気がするが多分気のせいだ。) そして突進してくる子供の腕を、紙袋のことを考慮して掴み、一気に足払いを決めて宙に浮かせる。 さらに余っているもう片腕で足を持ち上げ一回転させ、ゆっくりと地面に下ろしたわけだ。 こんなことを出来る奴はそうそうにいないだろう。 「……おぃ、大丈夫か?」 とりあえず何が起こったか把握しきれていない小学生に向かって声をかけてみる。 「……うぐぅ、大丈夫だよ。」 「うぐぅ?何語だ、それは。」 「えっと……そうだっ!こうしちゃいられないんだったよっ!」 「…へ?」 「説明は後だよ、付いてきてっ!」 そう言って腕を掴もうとしてくるが、ついつい反射神経が働いてその手を避けてしまった。 「あ、しまった…」 ズデン! 走り始めた途端、掴もうとしていた腕の抵抗力があると考えて、そのまま多少の前傾姿勢を保ったまま走ろうとした腕を避けた訳だ。 すると、予定ではかかるはずの腕の抵抗力はなく、結局は地上に(多分)愛のあるタックルをしたわけだ。 ……多少ひねくれた言い方をしたが、平たく言うと転けたんだ……それも顔面から。 「………」 「……大丈夫か〜?」 「………」 「…全然、まったく痛くないとか…?」 ガバッ! 「おぉ。」 「すっっごく痛かったよっ!!」 そりゃぁ地面に顔面から突っ込めば北川じゃない限り痛いと思うぞ。 ちなみに北川がなぜ除外されたかというと……香里の攻撃を耐えれる奴が多少地面とキスしたくらいでダメージになるとは考えられん。 「いやぁ、悪い悪い。ついつい癖で反射的に避けてしまったぞ。」 「うぐぅ…鼻の頭がひりひりするよ…」 「ま、そこまで酷い外傷も無かったんだからいいじゃねぇか。第一男の子がそんなことでグズってちゃいかんぞ?」 「うぐぅ…ボク女の子だよっ!」 なにっ!そ、そうなのか…… まったくもって全然気がつかなかったぞ… 「てっきり小学生くらいの男の子だと思ってたぞ…」 「ひどいよっ!ボクこれでも16歳だよっ!」 「………は?」 今なんて言った…16…十六…じゅうろく… 「っ……16だぁ!?」 「そうだよっ!」 っはぁ〜…世の中まだまだ俺の知らないことが多いんだなぁ… なんか世界の広さを改めて感じたぞ… 「なんだ、同い年なのか…ん?そう言えば名前聞いてなかったな。俺は祐一、相沢祐一だ。お前は?」 「ボク?ボクは月宮あゆだよ。よろしくね、祐一くん♪」 ん?月宮あゆ…?どっかで聞いたような…… えーっと……月宮あゆ…あゆ…あゆあゆ…っ!? 「あぁ!お前『あゆあゆ』かっ!」 「うぐぅっ!あゆあゆじゃないもんっ!!ってなんでその呼び方を…?」 「あ〜、やっぱ覚えてねぇかなぁ。前に遭ったのは7年前だしなぁ…」 今、はっきりと思い出した。俺は7年前にこいつと会ってる。 確か、その時の思い出と言えば… 「なぁ、まだあのタイヤキ屋のオヤジ。店やってんのか?」 「あのタイヤキ屋さんを知ってる知り合いは…ボクと祐一くんだけ…もしかして…」 「多分、そのもしかしてだな。ま〜だ食い逃げやってんのか?あゆあゆ。」 「ホントに祐一君…?」 「おう、正真正銘ホントの祐一だぞ。」 「あれ…でも祐一君って銀髪に紅眼じゃなかった気がするよ?」 「あー…それは話すと長いんだ。それより…後ろのオッサンはどうすればいい?」 こういう場合はこう言うしかないんだよな。 俺の家系は代々闇属性としてのうんぬんを言ったところで理解して貰えるとは限らないし… かといって不自然じゃない言い訳なんて思いつかないぞ。 それよりさっきから後ろであゆを追っかけてきたのであろう息を切らせたオッサンがたたずんでいるんだがな。 まぁ、多分タイヤキ屋のオヤジで間違いはないと思うが、律儀に俺等の会話が途切れるのを待つなんて礼儀がいいのか…人が良すぎるだけか… 「そろそろ会話に混じってもいいかい。若い兄ちゃんにあゆちゃんよ。」 「うぐぅ!しまった、忘れてたよ!」 「若い兄ちゃんか、それはないだろうオヤジ。仮にも7年前までおたくのタイヤキの常連だったってのに。」 「ほぅ…常連か、それにしても俺にゃぁ見覚えがねぇんだが…って待てよ、7年前って言ったか?」 銀髪紅眼になるとそんなにもわからないものなのかねぇ…? 俺としては大して変わっていないとか考えてるんだが… あとは7年前ってのが原因か、たしかにあの頃から比べりゃ嫌でも身長は伸びるしな。 「おぅ、言ったぞ。7年前にこいつと良く買いに行ったからな。」 「7年前…あゆちゃんと買いに来た…おぉ!おめー、ユーイチか!」 「そ、そーいうこと。久しぶりだなオヤジ、あれからまた腕上げたか?」 「っへ、あたりめーだ!俺の店は創業50年の老舗だぜ!質が上がることはあっても落ちることはねぇ!!」 そんな歴史持ってたのか…確かに古い感じのする屋台だなぁとは思ってたけど… っていうかオヤジ、いま何歳だよ…どう見ても40代前半にしか見えないぞ… この街は老化防止の遺伝子でもあんのか…? もしかして…オレンジの副作用かなんかか。 (知りたいですか♪) ……………俺は何も疑問に思ってません、今の声は聞こえてません… (ザンネンですね…) 「ほー、そりゃ凄い。」 「しっかしお前があのユーイチだったとはな、すっかり姿形が変わってるんで分からなかったぜ。」 「ま、いろいろあってな…」 「そうか…」 男同士の会話ってのはこういうやりとりだけで済むからいいよな。 これが名雪とかだったらドンドン根ほり葉ほり聞いてくるんだろうけど… ま、ホントのところは教えてるからそれはないけどな。 「よっしゃ、これから俺の自慢のタイヤキ食いにこい!久々だから負けてやるぞ!」 「こういうときってのは再会の祝いとして奢ってくれるもんじゃないのか?」 「バカヤロー、こちとら商売だ。割引は目を瞑ってもタダにはしてやらねぇよ。」 「っち、ケチくさいな。」 「はっはっは、それとあゆちゃん。今日の勝負は俺の勝ちだな。」 ……勝負? あぁ、食い逃げバトルの事か。 あゆが10分間逃げ切ったらあゆの勝ち、それ以内に捕まったらオヤジの勝ち。 これは俺が昔オヤジに吹っ掛けたのが始まりだったんだよなぁ。 なんか今やあゆとオヤジの間で定着してるような気もするが… 「うぐぅ、今日は余裕で逃げ切れると思ったんだけどなぁ…」 「ま、ユーイチと会ったのが運の尽きだったな。はっはっは!」 俺が原因かよ、おい。 間違ってはいない気もするが…確かにあゆを引き留めてたのは俺なわけだし。 「今日の所は勝利を譲るよ、だけどまた今度取り返すからね!」 「おう、いつでも受けてたつぜ!」 って、なんかすげぇ熱入ってないか…? 俺がいたときはまだなんていうかのんびりした雰囲気があったのに… 「よっしゃ、んじゃ行くかいよ。」 「そうだな」 「そうだね」 また公園に戻るのか…行ったり来たり忙しいもんだな… まぁいいか、久々にオヤジのタイヤキ食えるし。 ………チリッ 「──っ!おい、オヤジ。」 「……あぁ、お前も気づいたか。」 「うぐぅ?」 あゆは首を傾げているが、ルシファーと契約して人並み以上の感覚、能力を得ている俺。 それに隠れたこの街の実力者でもあるオヤジは周りの空気が微妙に変わった事に気づいた。 「……この感じ、アンデットか?ユーイチ…」 「あぁ、それも1体や2体とかの生優しいレベルじゃないな。少なくとも30か…」 ったく、この平和な町中で異形の召喚とは…何処のバカだ。 倉田さんの政治活動を批判したいやつか…単なる気違いか… どっちにしろ今のこの場で召喚されたら商店街がやばいことになるな… 夕飯の買い物に来た一般人や主婦が戦うには異形は荷が重すぎる。 「……あゆ、お前戦えるか…?」 「え?あ、うん。大丈夫だよ。でもなんで?祐一君」 「いいかい、あゆちゃん。どっかのバカがこの平和を妬んで異形を無理矢理召喚したらしい。」 「しかもやっかいな事に不死者であるアンデット系だな…」 「えぇ!アンデットって…お化けとかの…?」 「あぁ、それだ。周りの被害を最小限にするために警備隊がくるまでの間、俺達で抑えるぞ。」 っち、デストロイでも持ってきとくべきだった… 重いからって渋ってたが、『破邪』の不可効果がある…『聖』が苦手な俺には有利な武器だったんだがな… 「ないモノをねだっても始まらないか…起きろ、空絶。戦いだ…」 ……シュン 一弥の動殺眼を見切るとき以来、鞘に治まったままだった空絶を引き抜く。 軽い音がして鞘から精度の高い刃が現れる。 「(…ん?なんだ、折角良い夢を見ていたというのに…)」 「……妖刀のくせに夢なんかみるのか。」 「(失礼だな。これでも人格があるのでな、夢くらい見るわ。して、戦いとな?)」 「あぁ、目標はまだ視認していないがおそらくアンデット系、召喚されたモノだと思う。」 「(召喚か…ならば墓場などにいる奴よりしぶとそうだな。)」 召喚されたモノは一般に同異形に比べて体力が何故か飛躍的に高くなる。 これがまたやっかいなことに、アンデットは並の中級異形並の体力を誇ってしまうんだよな… 「うっし!…とりあえず、オヤジ、あゆ行くぞっ!」 「久々に暴れてみるのもいいかもしれんな。」 「うぐぅ〜、アンデットは苦手なんだよ〜…」 ……マジですか… 実質2対30…これがアンデット以外なら余裕なんだが…しぶといから多少は手こずるかもな… ──秋子さん、すいません。どうも夕食までには帰れそうにないです… 「さぁ…戦闘だっ!」 時雨 「おーっ!奇蹟の早め更新だぁっ!」 美汐 「お疲れさまです。しかし、出番が少ないなんてそんな酷なことはないじゃありませんか。」 時雨 「今回のゲストはおばさん臭い女子高生こと、天野美汐嬢にお越し頂いておりますよ〜。」 美汐 「今回の出番は一箇所だけでしたね…」 時雨 「う゛…文才がないのが痛いですよ…全員だすと区別しにくくなるもの要因の1つでもありますが…」 美汐 「まぁ、文才と言うものは才と書くだけに天性のモノがありますからね。」 時雨 「そ、んでそれがない俺は努力でカバーしているつもりなんですよ。」 美汐 「そうですか…でも、私たちの所にも相沢さんはいらっしゃるのですよね?」 時雨 「あぁ、それはもう。人探し2日目あたりで美汐と真琴出そうかなぁとは考えてるよ。」 美汐 「わかりました、お茶菓子でも用意してお待ちすることにしましょう。」 時雨 「お茶菓子か…とことん極めてるね…。」 美汐 「何を極めているとおっしゃりたいのですか?」 時雨 「(う…すんげぇ殺気が……)き、、気のせいだよ。」 美汐 「…………まぁ、いいでしょう。」 時雨 「(た、助かった…)」 美汐 「では、お開きでしょうか?」 時雨 「あや、そだね。」 美汐 「それでは、これからも時雨が執筆SSをどうぞよろしくお願いします。 」 時雨 「そーいうこって、紅眼の魔剣士をどーかよろしゅ〜♪ 」 時雨 「しっかしホントおばさん臭い台詞だねぇ…」 美汐 「………揺らげ大地の怒りと共に、我が望みし形に姿を変えよ。『アースクエイク!』」 時雨 「っだーっ!タンマタンマ!ごめんなさいっ!俺が悪かった!魔法は勘弁してくれっ!!」 美汐 「嫌です。」 時雨 「ぎゃーーっ!!」 |