さて、どうしたものか…
 
 
動けないんじゃないか、これは…?
 
 
俺の膝の上には、舞が眠っている。
 
 
俗に言う膝枕というやつだが…
 
 
男にしてもらって嬉しいのか…これ?
 










膝枕日和











よぉ、俺は相沢祐一、巷で話題の高校生だ。
どんな噂かって…?
それは…難攻不落、鉄壁のクールビューティー川澄舞を落としたという伝説…らしい…?
だけど、この噂を広めているのがあははーと笑う栗色の髪をしたお嬢様だというのを聞いたことがある…
これを教えてくれた戦友たる北川は、その後黒い服を着た逞しいお兄さん方に連れて行かれたんだが…
その時に、何故か俺に向かってサムズアップしていったんだがなんだったんだろう?
 
 
「スゥ…スゥ………んぅ…祐一…」
 
 
実は、今俺達のいる場所は公園の一角だったりする。
俺が木に背を預けてぼーっとしていたら、気づいたら舞が寝ていたわけなんだが。
 
 
「……ふぅ…本当に…男にしてもらって嬉しいのか…コレ?」
 
 
実際、男の膝枕なんて堅いだけだと思うんだが…?
どうなんだろうなぁ…かといって舞を起こすのも気が引けるというかなんというか…
軽く覗き込んでみると、舞は心の底から安心したような顔をして眠っている。
普段の無表情から比べると、格段と分かる表情なんだが、今は軽い微笑みを浮かべている。
一旦どんな夢を見てるやらね…?
 
 
「でもまぁ…やっぱ舞は美人だよなぁ…」
 
 
しみじみ見てみるとやっぱり舞は最上級に近い美女と言えるだろう。
綺麗で、流れるような黒い髪、神が与えたんじゃないかと思うような美貌。
こんないい子を俺が彼女にできるなんて、ちょっとした優越感だよな。
北川なんか、「うぉぉぉ、相沢めぇぇぇ!」と叫んでたくらいだし…
 
 
ゴソゴソ…テシテシ……キュッ
 
 
舞の手が突然動いたかと思うと、俺の足の近くを探すような動作をして、俺のズボンを掴んだ。
なんだ…夢ん中で俺でも探してたのか?
舞の綺麗な髪を梳き流しながら、優しい手つきで撫でる。
いつものポニーテールではなく、髪を縛る物はなにもない。
おかげで、舞の髪は綺麗に広がっている。
 
 
「やっぱ綺麗だよなぁ…」
 
 
くすぐったそうにしながらも、やっぱり顔は微笑んでいた。
でも気のせいか…心なしか頬が赤いように見えるんだが…?
 
 
「大丈夫…俺はずっとお前といるよ…」
 
 
普段なら、かなり恥ずかしいから言えない事なんだけどな。
まぁ、舞も今は寝てるし…
見てるヤツもいないからいいんだけど…
でもまぁ、やっぱ少しは恥ずかしいなぁ…
 
 
「はー…いい天気だなぁ…」
 
 
空は快晴、文句無しの青空。気温も良好。
こういう日は外に出るに限るんだが…
とりあえず、今こんな状態も悪くないんだろう。
舞の頭を撫でながら俺はそれをボーっと考えていた。
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
どれほどの時間をボーっとしていたのかもわからない。
でも、そこそこの時間は立っているようだ。
太陽が、一度見た位置から大分傾いている。
ふむ…精々1時間ってところかな?
だがなんでだ…視点がさっきより低い位置にあるような気がするんだが…
 
 
「ふ…む?」
 
 
さっきまで、俺が身体を預けていたハズの木が何故か横にある。
んー…?
 
 
「おぉ、なんでか舞の顔が上にあるぞ…?」
「……祐一、起きた?」
「起きた…ってことは…俺は寝てたのか?」
「(コクン)」
 
 
ふむ、ボーっとしているウチに寝ていたのか。
だが…この頭の下の暖かく柔らかい感覚と…何故か上に見える舞の顔を見て察するところ…
 
 
「膝枕…してくれてるのか?」
「(コクン)」
「あぁ…通りで…っ!」
 
 
あ、あぶねぇ…
ついつい「舞の綺麗な顔が近くにあるのか…」なんて言おうとしてしまったゾ!
 
 
「祐一、顔が赤い。」
「い、いや、なんでもないぞ!」
「……?」
「ま、まぁ気にするな。」
 
 
うーん、顔が赤くなっているのが分かる…
落ち着け俺!
 
 
「あー…なんだ…重くないか?」
「……平気、この重さが…なんかいい…」
「そうか…」
 
 
 
サァッ…
 
 
 
その時、丁度良いタイミングで風が吹いた。
なんていうか、季節独特の暖かさというか…そんな感じの優しい風が俺達を包んでいた。
 
 
「気持ちいいな…」
「……うん」
 
 
あぁ、やっぱり…こんな日も悪くない…
願うなら…こんな平和な日が、いつまでも続くよう…
そして、俺の大切な…大事な存在の舞がいつでも笑顔になれるよう…
守っていこう、この時、この時を何より大切にしていきながら。
それが…きっと…
 
 
「俺のやるべき事…なんだろうな…」
「……?」
 
 
舞が、何を言ってるんだろうという感じで首を傾げていた。
そんな些細な仕草が可愛いと感じて、吹き出してしまった。
 
 
 
ポコッ
 
 
 
「あたっ」
「……なんで笑う。」
「いんや…別に〜、ただ、可愛いなぁってな。」
 
 
 
ポカポカ!
 
 
 
「あはは、そう照れるな。」
「……照れてない。」
 
 
やっぱり、俺は舞に惚れてる。
それも、もうこれ以上どうしようもないってくらいに。
 
 
「よっ……と。サンキューな、舞」
「……構わない。」
 
 
起きあがって、身体の調子を軽くほぐす。
うん、寝ていただけあって、なかなか調子がいいんじゃないか。
 
 
「さて、そろそろ帰るか。」
「……うん」
 
 
手を貸して、舞を立たせる。
そして、手を繋いだままゆっくりと俺達は歩き出した。
この手が放れぬよう、しっかりと握りあって。
 
 
「舞」
「……?」
 
 
今の俺が出きる精一杯の気持ちを込めて…
伝えよう、ただ一言。
 
 
「俺は、お前が大好きだよ。」
「……っ!?」
 
 
沸騰したかのように真っ赤になった舞の顔を見ないようにしながら、ゆっくり歩いている。
舞は、チョップしてくるわけもなく、顔を伏せて、でも遅れないように付いてきてくれる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
─── あぁ、なんていう幸せなんだろう ───
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 〜 中書き…のようなもの 〜
 
 
なんとなく、春の陽気が見え隠れし始めたこの頃。
雪が降らずに雨が降る、そんな暖かくなってきたことを実感できる今日この頃ですが。
とりあえず、謎な前フリからこんにちわ、時雨です。
 
今回は舞のSSということで、なんともまったりした時間を共有していただければ是幸い。
舞は基本的に余り喋らないキャラクターなので、案外こういう風なSSを書くのは難しいですなぁ…
でもまぁ、そこそこ俺的には納得して書けたと思います。
そんなこんなで、長々書くのもアレなんで。これにて。
 
                From 時雨    2006/3/30
 
 
 追記
 
このほのぼのした雰囲気で終わりたいって人は、とりあえずこの先に行かぬようにお願いしますw
なんとなく入れたくなって彼女に入ってもらったので…w
まぁ、戻られる方は、ブラウザの戻る、でよろしくお願いします。
でわでわ。
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
おまけのようなもの?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「あはは〜、舞はいつも通り可愛いけど、祐一さんも可愛いですね〜♪」
 
 
2人が寝ていた木の遠くもなく、近くもない違う木の下で。
栗色の髪を持つ、彼女はいた。
ちなみに、そのさらにちょっと離れた位置には黒服の皆さんも待機していたりする。
栗色の髪の彼女…佐祐理に近づいてきた不定な輩が先程から数名連れて行かれたりなんだりしていたようだが…
 
 
「皆さん、映像の方はどうでしたか?」
「ハッ、お嬢様、ターゲット周囲180度全てからの撮影を滞り無く完了致しました。」
 
 
どうやら、各所に密かに配置して、ずっと撮影を行っていたらしい。
恐るべきは忠実に従う黒服の皆さんであろう。
 
 
「ありがとうございます、それでは撤収しましょう〜」
「ハッ!」
「(さてさて、これから編集作業をしなければいけませんね〜。舞の晴れ舞台の時に是非とも上映しなくては〜)」
 
 
どうやら、夜を徹する覚悟で編集しそうな勢いだ。
さらになにやら先の事を考えているような節がみられる。
 
 
「あはは〜今日はいい天気ですね〜♪」
 
 
 
 
 
 
あぁ、幸せな人たちに幸あれ。