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『Master』 腹が減ってはなんとやら。 集中力も、底力も腹が減ってたら出てこないもんだ。 そう考えて、夕飯にはちょっと早いが、準備をしていると、ピアス・レクオスから声がかかった。 『There was a reaction』 「ん、反応があったか。場所は?」 二次創作 魔法少女リリカルなのは 『これも不思議な出会いなの!』 場所を聞くと、頭の中にイメージとしての地図が浮かび上がってくる。 ……えーっと、第97管理外世界で言う神社、だっけ? 魔法という存在が明確になっていない世界だからこそ、この魔力反応でアタリだろう。 「それじゃ、迷子の回収に行くか」 『Stand by Ready Set up』 白銀の魔力光が俺の着ている服をバリアジャケットへと変える。 白いハイネックに紺色のズボン、そして、腕を隠すくらい長い袖を持つマントのような外套。 イメージとするなら、錬金術師のような格好と言っても問題ないかもしれない。 「現地まで最高速で飛ぶぞ」 『Sonic Action』 ベランダから飛び出し、そのまま空を舞う。 そして、出来るだけ高い高度を維持しながらも俺は目的地に向かって速度を上げた。 「原住生物を取り込んでる……」 近づくにつれて、複数の魔力反応が俺にもわかるようになってきた。 そして、遠い視界の片隅に、亜麻色の髪をツインテールにした女の子の姿も見える。 「えっと、どうなるの?」 「実態を持ってる分、手ごわくなってる」 「大丈夫、たぶん……」 奇形化した犬のような生き物が、女の子に向かって突進してくる。 だが、どういう訳か、女の子は焦るだけでバリアジャケットを装備するようには見えなかった。 「なのは、レイジングハートの起動を!」 「ふぇ、起動ってなんだっけ?」 すでに目と鼻の先とも言えるくらいまで距離が縮んだ時、少女の足元にはイタチのような生き物がいた。 あれから魔法の反応を感じるってことは、あれがロストロギアなのか? 「いつでも防御できるようにしといてくれよ」 『All right』 「なのはー!」 寸前の所で、突撃を防ぐには間に合わなかった。 だが、煙が晴れた先には、バリアジャケットを纏った女の子が、座り込んでいた。 ロストロギアも、ただ見ているだけのはずがない。 鳥居の上から、またしても女の子に襲い掛かろうとしていた。 「……っ!」 「でもまぁ、そうは問屋は降ろさない訳だ」 『Protection』 どうやら、2撃目には間に合う事が出来た。 女の子の持つデバイスがプロテクションを張った上から、俺も魔法を展開する。 「ふぇ?」 「……魔導士!?」 ロストロギアを弾きながらも、出来るだけ人が安心できるであろう表情を見せる。 「えーっと、君の名前は解らないんだが……怪我は、無いようだな?」 「あ、はい! 大丈夫です」 きょとんとした表情をしていたが、俺の問いかけに慌てたように答える。 「そうか、それじゃあ……アレは破壊しても問題ないのかな?」 「えっと……封印っていうのをすればいいそうなんです」 封印……あぁ、そうか……ロストロギアは不用意に破壊するのは危険なんだったか。 記憶の片隅にあったそんな情報を引き出しながら、警戒を緩めないように睨み付ける。 「君が封印出来る、でいいのかな?」 「はい、大丈夫……だと思います」 「それじゃあ、アレは俺がひき付ける、その間に封印を頼む」 相手が行動に移す前に、俺から標的に向かって駆け出す。 『Flash Move』 「うわっ」 一瞬だけ、世界を置き去りにして俺の速度が加速する。 そして、ロストロギアの傍にいたイタチを回収しつつ、俺はバインドを放った。 『Ring Bind』 犬っぽいので、ついつい首をメインに拘束してしまったが…… まぁ、結果的には同じだからよしとしておこう。 「今だ、封印を!」 「はい!レイジング・ハート、お願いね」 『All right. Sealing Mode Set up』 バインドで拘束されている上から、女の子のデバイスから光の縄が現れ、ロストロギアを締め付けていく。 そして額に十六という数字浮かび上がってきた。 「リリカル・マジカル。ジュエルシードシリアルⅩⅥ。封印!」 『Sealing』 そして、女の子の魔法が完成すると同時に、ロストロギアは青い宝石と犬に分離された。 青い宝石は、静かに女の子のデバイスの中に吸い込まれていく。 「ふむ、今のがロストロギアの本体か……」 女の子の呪文に、心のどこかが突っ込みを入れたがっているが、それを黙殺しつつ現状を確認する。 「あのぅ……できれば離していただきたいんですが……」 「ん、あぁ悪いな……って、イタチが喋ってる!?」 ついつい掴んだままだったが、そういえばさっき回収したんだったか。 「フェレットです!」 「そうなのか、悪い悪い」 軽い調子で謝りつつ、女の子にフェレットを返す。 フェレットは、女の子の肩に乗ると何故か俺の方を凝視している。 「あの……時空管理局の方ですか?」 「そういえば、お互い自己紹介もまだだったな」 魔法や使い魔なんてのが日常にある世界にいたためか、すでにフェレットが喋っている事に疑問を感じるのは止めた。 それよりまず、相手の名前がわからないから、会話をするにもどうしていいかわからん。 「俺の名前はラインハルト、ラインハルト・ヒューゲル。ミッドチルダのクラナガン出身のフリーの魔導士だ」 「あ、私は高町なのはって言います」 「助けてくれてありがとうございます、僕はユーノ・スクライアです」 高町に、ユーノか……って、ユーノ? それじゃあこのフェレットがスクライア部族の行方不明者? 「あー、一つ聞きたいんだが……スクライア部族の行方不明者、ユーノ・スクライアってのは君の事か?」 「えっと、たぶんそうだと思いますが……」 「おかしいな……貰った資料だと人間だったはずなんだが……」 若い少年だというデータがあったんだが……どうみても動物だよなぁ…… あぁ、動物としては若い少年って事か? 「フリーの魔導士の方が、何故ここに……?」 「俺がここにいることや、ユーノ君の事を知っているのも含めて話がしたいんだが……」 そこまで俺が言ったところで、高町と名乗った女の子のお腹から可愛らしい音が聞こえた。 俺とユーノ君が目を向けると、なのはは恥ずかしそうにしながらもはにかんだ笑顔を見せた。 「あ、あはは……お腹減ったね」 「と、言う事らしいから。後日って事になるかな……?」 「そう、ですね」 そう笑いながら、俺は二人に連絡先を教え、後日高町がまた会うことを決めた。 「それじゃあ、改めて。ラインハルトだ、ラルとでも呼んでくれ」 「高町なのはです、友達からはなのはって呼ばれてます」 さすがに、店のような不特定多数が存在する空間でスクライアが喋るのはマズイ。 そんな訳で、人はいても会話が聞かれにくい公園で俺たちは再会を果たしている。 「それじゃあまずは俺がここにいる理由から話そうか」 そう前置きしてから、俺がここに来る事になった経緯を二人に簡単に話す。 途中で高町がわからない単語に反応していたが、質問などは後に回させてもらおう。 「――――と、言うわけで。正体不明の観測者って人から君の保護を頼まれた訳だ」 「それは大変ありがたいんですけど……僕はジュエルシードを回収しないと……」 「正体不明の奴から依頼されてきたって所を疑わないあたり、人がいいなぁ、スクライア」 回収という事は、まだ複数個存在している可能性がある。 となると、その数の分だけバケモノが量産されるのか…… 「あ、僕の事はユーノと呼んでください」 「わかった。それじゃあユーノと呼ばせてもらおう」 「あの……」 ある程度、現在の情報交換をしていると、控えめながら高町から声が上がった。 「ん、どうした高町?」 「あ、私の事はなのはでいいです。ところで、ラルさんは何歳なんですか……?」 高町――本人の許可が出たからなのはと呼ぶが――から言われ、自分の年齢を思い出そうとしたが…… 「えーっと、年なんてまともに数えてないから覚えてないが……」 『Eleven』 「……らしいよ?」 優秀な相棒であるピアス・レクオスからの回答で、自分が今11歳だと知った。 ……これって、人間としてどうなんだろうなぁ? 「二つ上なんですか!?」 「なんだ、その驚きようは……さりげなくユーノ、お前もか」 俺の年齢を聞いた途端、二人が驚いた顔をしたのに突っ込みを入れてみると、慌てて何か弁明を始めていた。 どうやら、俺の年はもっと上だと思っていたらしい。 ……自分で言いたくは無いが、俺はそこまで老けて見えるんだろうか。 「まぁ、とりあえず今驚いたことは後で追及するとして」 「するの!?」 なのはが何か言っていたような気がするが、俺には聞こえていない。 「なのは、ユーノ。これから君たちはどうする?」 ――――ユーノの目的がジュエルシードの回収だと言うのなら、俺が全部担当してもいい。 そう言うと、二人は何かを考えるような素振りを見せた。 あえて質問を重ねず、俺は二人がどういう意思を示すのかを見るために、ただ沈黙を貫く。 まぁ、もし任されたとしても、一度封印する手段を俺はプログラミングしないといけないんだけどな。 俺のデバイスに、シーリングモード搭載されてねーし。 「僕は……この世界にジュエルシードをばら撒いた責任を取りたいと思います」 「責任……ね。怪しい資料を信じるとすれば、ユーノに責任は無いように思えるが?」 次元航行中に事故か、他意が混ざったかは知らないが、この世界に散らばったのも、別にユーノのせいではないだろう。 発見者を責めろというのならば、それはスクライア部族全てにいえることであり、ユーノ個人に大してではない。 「それでも、ここにこうしているのが僕である以上、僕はジュエルシードを集めたいと思います」 「そうか」 真剣な目が、俺に向けられてくるのをしっかりと受け止めながら、なのはの方を盗み見てみると、確固たる物をまだ見つけられていないように見えた。 それはそうか……魔法すら存在していない世界で、突然の協力要請、さらにはこんな質問が来て即答できるような人間なんて、そうそういないだろう。 「なのは、悩んでいるなら悩んでいると言ってくれていい。別に即決を求めて質問したわけじゃないから」 「……ごめんなさい」 心なしか、ツインテールも力なく垂れている様に見える。 マズったな……別に落ち込ませるつもりでこんな事を言ったわけじゃないんだが…… 「いや、今日は俺が急すぎたという事もある。そうだな……今度会う時、その時に答えを聞かせてくれるかい?」 「わかりました……」 「とりあえず、俺が言いたいのは今のところこれくらいだな」 それだけ言ってこの場を去ろうとしたが、裾をつかまれるような感覚を覚えて、後ろを振り返ってみる。 そこには、まだ悩みからは抜けきれていないように見えるが、なのはが俺の服をしっかりと掴んでいた。 「……なのは?」 「あの……この後予定はありますかっ!」 少しだけ言い淀んだかと思えば、なのはは俺の方をしっかりと見てそう言って来た。 「……はぃ?」 「もっと、いろんな事を知りたいの。魔法のこと、ユーノ君の事、ラルさんの事……」 ――――いろんな事を聞いて、自分で出した答えに自信が持ちたい。 なのはは、そう言って今までの迷っている目から一転、真剣な目を向けて来た。 「O.K.……そう言うことなら、付き合おう」 そして、俺はなのはに半ば引きずられるようにして、友達と待ち合わせしているという翠屋という店に向かう事になった。 ……あれー、なんで俺、本当に引きずられてるんだろうね? 「ラインハルトさん……さっきとは別人みたいだね?」 言うな、自分でもそう思う。 ~ あとがき ~ そぉーんな訳で、第2話です。 あれ、ここで初めて主人公の名前出た? デバイスの方が誰よりも早く名前が出ているという不思議。 まぁ、ここで出したからまぁいいか。 ラインハルトを略してラルとか、無理があった気がしないでもない。 でも、なんかそう言えるような気がしたので捏造です。 十八番です、捏造。 ヒロインもそれとなく決めてるのさー、ふはほーぃ! それでは、このへんで。 From 時雨
初書き 2008/11/30
公 開 2009/01/07 |