地面に激突するかと思われた時、間一髪で滑り込んだアルフが身を挺してフェイトを庇った。 さすがベースが動物型の使い魔って所だな、スピードはなかなかあるじゃないか。 「あれ……衝撃が……こない?」 上空から無防備に落ちたフェイトを、自らをクッション代わりに救うツモリでいたアルフは、当然次に来る衝撃に備えていただろう。 フェイトが落ちるのを目の前で見ていた俺が、ただそれを許すわけが無い。 ちょうどその場所あたりに、衝撃を抑える魔法を薄く展開しておいた。 二次創作 魔法少女リリカルなのは 『協力者高町なのは、なの』 「っ! 逃げるよフェイト、しっかり掴まって!!」 アルフは何故衝撃が来ないかなんてそんな余計な事を考えている時間は無いとばかりに、その場から逃げ出そうとする。 しかし近くにいたクロノ執務官は、そんな2人を逃がすまいと青い魔力弾を再び放とうとする。 「ダメー!!」 なのはが、クロノの射線上に割り込んできた。 それに構わず、魔法を放とうとしたクロノだったが…… 「ピアス・レクオス」 『Struggle Bind』 俺の命令を忠実に実行した相棒によって、クロノ執務官は魔法で拘束され放とうとしていたものも解除された。 その間にも、フェイトたちは空へと飛び上がり遠くへと去って行った。 「何をするんだ!」 多重転移でも行っているんだろうな、フェイトたちの魔力反応が途切れ途切れに感じられる。 まぁ、俺はあっちの居場所を知っているからどうとでもなる。 まずは、こっちから片付けておかないと面倒な事になりそうだ。 「犯人を逃がすなんて、逃走幇助の罪だけならまだ軽く出来る!早くこのバインドを解くんだ」 拘束されたままいまも喚いているクロノへと視線を軽く走らせたが、俺はすぐになのはの方へと向かう。 フェイトたちが去って行った方を呆然と見ているなのはは、またしても気落ちしているように見える。 「なのは」 「……ラルさん」 「魔力がぶつかり合うのを相棒が観測してたんだが、怪我は……なさそうだな」 なのはの様子を魔法を使わずに軽く見てみたが、どうやら怪我とかはしていないらしい。 「うん、今回も大丈夫だったよ」 「そうか、それはなによりだ。とりあえずアレ、封印しちまえ」 あまり疲れを見せていないのなら大丈夫だろうと思い、なのはに封印を頼む。 頷いて答えたなのはは、浮いたままのジュエルシードをレイジングハートへと収納した。 「くっ……なんでバインドブレイクが効かないんだ!!」 目の前にいた人物をみすみす片方を逃がしてしまった事や、バインドが解けない事に徐々に焦りを感じ始めているクロノ執務官。 俺のバインドが、そう簡単に外せると思うなよ? 「さて……そろそろか」 「ラル、さっきから何かを待っているみたいだけど……何を待っているの?」 クロノの蠢く様を薄ら笑いで見ていた俺に、ユーノがそう声をかけて来た。 へぇ、そういう素振りを見せたつもりはないんだが、よく分かったな。 「なに、すぐに分かる。なぁ? アースラ艦長、リンディ・ハラオウン殿?」 薄ら笑いをそのままに、俺は何もない空中へと視線を外す。 その視線に釣られるように、なのはやユーノがそちらへ向くと、視線の先にエメラルドの髪を持つ女性の映像が現れた。 「やっと繋がったわ……クロノは無事……みたいね」 「ご覧の通り怪我1つ無く、蓑虫状態で転がっているが?」 クロノの方を指差して、意地の悪い笑みを俺は浮かべてやった。 それを見たリンディ艦長は、一瞬だが顔を引きつらせた。 「あの……貴女は?」 隣にいたなのはが、おずおずといった雰囲気でリンディ艦長に尋ねる。 名前は俺が言ったのを聞いていたはずだから、この目の前の人物がどんな存在なのかを聞いての問いだろう。 「えぇ、改めて自己紹介します。私は時空管理局、時空航行艦アースラ艦長、リンディ・ハラオウンです。あなたは?」 「私は、高町なのはって言います」 優しい微笑みと共にされた自己紹介に、なのはも背筋を伸ばして答える。 それを見ているのも良かったが、話が進まないと判断した俺は指を鳴らしてバインドを解除した。 「お迎えが来たようだぞ、クロノ執務官」 「くっ……申し訳ありません、もう1人を取り逃がしてしまいました」 俺に対して溜まった恨みがあるんだろう、俺の方を睨んだ後クロノ執務官はリンディ艦長へと向き直って報告した。 恐らく、リンディ艦長がこの場に顔を出していなければ、俺に挑んできたかもな。 【ユーノ君、あの人たちの事知ってる?】 【知ってるも何も、ちょっとした有名人だよ……簡単に言っちゃえば、エリート中のエリート】 【えぇ!?】 ……どうでもいいが、なのはにユーノ。 念話するのは構わないが、チャンネルを俺にも繋げているってのはどういうこっちゃ。 「いいのよ、彼が相手じゃ仕方が無いわ……それよりお話が聞きたいんだけど、こっちまで来てもらえるかしら?」 そんな俺の突っ込みを他所に、いつの間にかアースラメンバーはメンバーで話が進んでいたらしい。 俺たちの方へと視線を移したリンディ艦長がそう言って来た。 「えっと……どうしよう。ユーノ君」 「うーん……行くしかないんじゃないかな。ねぇ、ラル?」 とりあえずユーノに問いかけるなのは。 なのはに曖昧に答えながら俺に尋ねるユーノ。 そんな2人の会話を耳に入れつつも、俺は率直な一言を口に出した。 「えー……めんどくせぇ……」 「なっ!」 「ラル!?」 俺の一言を聞いて、驚いたような顔をするみんな。 そんな顔をされてもなぁ……めんどくさいものはめんどくさいんだが。 「それより、話を聞きたいってだけならそっちから訪ねて来るのが礼儀じゃないのか?」 顔をタコのように真っ赤にして、口をパクパクとさせているクロノ執務官。 それとは逆に、青ざめた表情を見せるユーノ。 きょとんとしてわかっていない様子のなのは。 「……はぁ、それもそうね。今からそちらへ行かせて貰うわ。それならいい?」 クロノ執務官が咆えるより先に、呆れたようなため息をつきながらリンディ艦長が言った。 おぉ、試しに行ってみたがどうやらこっちに来てくれるらしい。 「……でもま、あんまり長時間この場にいるのもマズいか。仕方ないんでそっち行きますよ」 来てもらえば楽といえば楽だったが、さすがにこの管理外世界にあんまり多くの魔導士がいるってのもなぁ…… フェイトたちの様子が気になるといえば気になるが、こっちを先に片付けるって決めたしな。 「あら、ならこっちで準備して待たせてもらうわ。クロノ、後はよろしくね」 「……了解しました」 クロノ執務官の魔法でアースラへと転移した俺たち。 その時にまぁ、ユーノの姿をなのはがわたわたしたりしてたり。 なぜか妙なコーディネイトがなされた部屋でリンディ艦長がニコニコ待ってたりしたが…… あくまで余談だ、割愛しとこう。 「なるほど、そうですか……あのロストロギアを発掘したのはあなただったんですか」 事の次第を聞いたリンディ艦長から出てきた言葉に、ユーノは頷いて答える。 「それで、僕が回収しようと……」 思いつめたように語るユーノを見て、リンディ艦長は微笑みを絶やさずに言った。 しかし、直後に続けたクロノの台詞は、俺にとって少しばかりカチンと来るものだった。 「立派だわ」 「だが、同時に無謀でもある」 確かに無謀であるのは俺も思っていた。 それでもユーノは、その無謀を一生懸命こなそうとしていたのも知っている。 何もしらないクロノ執務官が一言で切って捨てていいものじゃない。 「これより、ジュエルシードの回収については、時空管理局が全権を持ちます」 「君たちは今回の事は忘れて、それぞれの世界に戻って元通りに暮らすといい」 何故かお茶に角砂糖を入れて飲むリンディ艦長が一息つくと、そう言って来た。 それにクロノ執務官も言葉を繋げる。 驚いたような表情を一瞬、なのはとユーノが見せたが、ユーノは俯き、なのはは何かを言おうとする。 「次元干渉に関わる事件だ。民間人に介入してもらうレベルの話じゃない」 なのはの言葉を遮るかのように、クロノ執務官の厳しい声が飛んできた。 暗にクロノ執務官はもう関わるなと言って来ている。 だが、なのはたちはそれを良しとはしないだろう。 「さて……そろそろ発言しても?」 なのはの性格から考えれば、一度関わったら最後までやり遂げようと思うだろう。 ユーノだって、自分のせいだと思い込んでいるくらいだ。 全権を持ちます、はいそうですかと頷けはしないだろう。 「……どうぞ?」 訝しげな表情を見せるクロノ執務官を余所に、俺はリンディ艦長へと視線を向けた。 「事の重大さについては、おいおいなのはたちには俺から説明しておきますが……」 さて、本当ならあまり管理局とは係わり合いにはなりたくないんだが…… 依頼された事、なのはたちの事、フェイトたちの事。 気になる事が多すぎるこの事件を、俺がそうそうに降りる訳にはいかんでしょう。 「物は相談ですが、リンディ艦長。この事件の間、俺を雇いませんか?」 俺の一言を聞いて、この場にいる全員が驚いた表情を見せた。 リンディ艦長ですら、目を丸くして俺を見ているくらいだ。 「貴方がそう言い出すなんて……なるほど、彼女たちのためかしら?」 驚きのままに呟いた言葉は、すぐに確信めいたものに変わった。 そして、虚偽は許さないと言う強い視線が俺を射抜く。 「なんの事でしょう? ただ、俺は関わってしまった事件の解決に協力しようと言ってるだけですが?」 そんな視線も、俺にとっては効果は無い。 すでにそれは予想済みだったのか、リンディ艦長は真面目な表情を崩す事なく続ける。 「でも、この事件に貴方の協力を仰ぐ必要性は感じないけれど?」 「果たして、本当にそう言えますかね?」 リンディ艦長は大事な事をいくつか見落としている。 それは俺……いや、なのはたちに取ってのアドバンテージに成り得る。 「……どういう事かしら?」 恐らく、記憶の中の情報を集めているんだろう。 リンディ艦長は、眉間に小さくシワを寄せながらも聞いて来た。 「管理局がジュエルシードの回収に関わるのはこれから後の全てと言いましたね?」 「あぁ、確かにそう言った」 確認するかのように言った俺の言葉に、クロノ執務官が答える。 「では、今までに回収されたジュエルシードはこちらの所有として考えても問題ありませんね?」 そこまで言ってやると、リンディ艦長とクロノ執務官は気づいたんだろう。 目を丸く見開きながらも、俺の次の言葉を待った。 「これをどう扱うか、それは俺たち次第で構わないと」 これがアドバンテージの1つ。 管理局がジュエルシードを全て集めるというのなら、必然的になのはたちが持っている物も集めなくてはならなくなる。 だが、集めるには俺たちから譲渡されるか、もしくは強引に徴収という形になるだろう。 譲渡の可能性が低い以上、徴収という形を取る可能性が強い。 だが、そんな事をしてしまえばいくら管理局であったとしても、公表されてしまえば世間の批判は免れない。 「もう1つは、俺たちがすでにもう1組の探求者と遭遇している事」 なのはは管理外世界……地球の海鳴に住んでいる現地人だ。 ジュエルシードが散らばったのが海鳴である以上、フェイトは今後も海鳴に姿を現す。 もしなのはたちが大人しくジュエルシードの回収から手を引いたとしても、フェイトはそんな事を知っているはずがない。 ならばどうなるか……答えは簡単だ。 「まず間違いなくもう1組は、こちらが回収を止めたと言っても信じないでしょうね」 そうなると、必然的に争いが発生するだろう。 全てを忘れてと言う事は、なのはは魔法を封印され、本当の民間人に戻る。 そんななのはが魔法を喰らえば、一発で気絶かもしくは命の危機に陥るかもしれない。 「そうなった時、管理局はどういう保障ができますかね?」 手を引けと言ったのは管理局だ。 言われた通りに手を引いて怪我をしました、でも管理局はなんの責任も取りません。 そんなムシのいい話が許されるはずもないだろう。 「結局の所、すでに民間人であるなのはは、もう後には引けない所まで踏み込んでるんですよ」 ならばどうするのが管理局という存在にとっての最善か。 簡単な事だ、事件が解決するまで深く関与できない程度に保護しておけばいい。 そうすれば余計な怪我をする事もなく、事件が終わった後に元の生活に戻ってもらえばいいだけだ。 「ですが、管理局としてはなのはたちの関与は出来るだけ避けたいと考えているでしょうね」 ミッドにいた頃から、管理局は保身に走った行動をするのを見てきた。 だからこそ、艦長という役職についているリンディ艦長も遠からずそういった考えを持っているだろう。 このままならなのはたちは事件に関わる事ができない。 「そこで、先ほどの俺を雇ってみませんかという話が出るわけです」 「どういう事だ?」 こう言って来る以上、クロノ執務官は俺の話を詳しく聞いた事がないんだろう。 まぁ、別にここで俺が話してやる必要性もない。 今はなのはたちを関与させる為に俺が動くだけだ。 「リンディ艦長は、少なからず俺……ラインハルト・ヒューゲルの事はご存知でしょう?」 「えぇ……」 「なら俺が雇われ、事件に介入したとして、管理局にとってのデメリットは?」 リンディ艦長は深いため息と共に、あまり認めたくは無いであろう事実を口にする。 「ほぼ無いでしょうね……むしろメリットの方が多すぎるくらい」 「そこまで言ってもらえるとは光栄ですね」 「でも、それがなのはさんたちとどう関係するのかしら?」 いい所に食いついて来てくれた。 さて、こっからが正念場って所かね? 「残念な事に、俺のデバイスにはシーリングモードが搭載されていませんし、今後も搭載する事はないでしょう」 そう言った後、俺はなのはの方へと視線を動かす。 「なので、ジュエルシードの封印作業に関してはここにいる高町なのは嬢に協力を要請しようと思います」 「ふぇ!?」 驚いたような声を出すなのはを今はいちいち相手にしているつもりはない。 後で散々からかってやろうと心に誓いつつも、俺は考えを述べる。 「もちろん、なのはへの協力要請は管理局としてではなく、俺個人からの依頼という形になるでしょう」 「……なるほどね」 「ユーノには、新人魔導士であるなのはのサポート役としてこれもまた俺からの依頼という形になります」 俺個人からという台詞を聞いて、理解できたのかリンディ艦長の視線が強くなった。 簡単に言ってしまえば、なのはたちの面倒や責任は俺が負うから、管理局は俺の面倒や責任だけを考えろと言っているようなもんだ。 こうしてしまえば、たとえなのはたちが怪我をしても、管理局に責任は発生しない。 「どうです? 双方の意見を通すには一番確実なやり方だと思いますが?」 飄々と言ってのけてやると、リンディ艦長はあごに手を置き考える仕草を見せる。 ……まるで、狸と狐の化かし合いだな。 「いいでしょう。この事件の解決まで、貴方は私たち管理局に協力してくれる。それでいいのね?」 「なっ! 艦長!?」 確認するような言葉に頷いて答える俺。 クロノ執務官は納得いかないようだが……まだまだ甘いね。 そして、演劇の役者のようにわざとらしい動きをしながら言葉を続ける。 「あぁ、契約書の作成はお願いします。給料はまぁ……多少色をお願いしたい所ですが」 「分かりました、コチラ用とソチラ用の2枚、同じものを用意しておきましょう」 「えぇ、お願いします。という訳だ、なのはにユーノ、これからもよろしくな」 最後にそう締めくくって、俺は笑いながら2人の肩を軽く叩いてリンディ艦長に告げる。 俺のやる事に納得は出来ないが、それが最良だと判断したんだろう、リンディ艦長は苦笑を浮かべながら頷いた。 一方のクロノ執務官はと言えば、またしても口をパクパクとさせた後一気に捲くし立て始めた。 「君は……自分の言っている事を理解しているのか!? 民間人を事件に巻き込むことの危険性を理解していないのか!?」 まぁ、言っている事は道理と言えば道理なんだが…… 俺もそう簡単に引き下がってはやらんぞ〜。 「それは、怪我をする危険性の事か? それとも他に何か?」 「それも含めた全てのことについてだ! 致命的な怪我を負った時、本当に君が全責任を負うことが出来るのか!?」 民間人の事を思っているように聞こえるいい台詞かもしれないが…… 俺からすれば、鼻で笑ってしまってもいいような戯言に聞こえる。 「誰がこいつらに怪我をさせるって?」 「絶対の安全は保障できないはずだ」 クロノ執務官の台詞に、俺は鼻で笑ってやる事で答えた。 それを見せられたクロノ執務官がいきり立とうとしたが…… 「座りなさい、クロノ」 「……艦長」 あまりにも冷静すぎるリンディ艦長に違和感を感じているんだろう。 「あとで彼について教えてあげるわ。だから今は黙っていて……」 「ですが……」 「ここまで管理局に対して譲歩してくれるのを邪険にしてしまえば、それこそが最大のデメリットになるの」 ある種の緊張と実感が込められたリンディ艦長の言葉に、クロノ執務官は怯んだ様子を見せる。 だがすぐに表情を改めると、信念を持った表情を見せて言った。 「お言葉ですが艦長。僕には彼がそこまでの実力を保持しているようには見えません」 引く様子の見せないクロノ執務官に、リンディ艦長は余り言いたくは無さそうな様子を見せた。 しかし諦めたのか、ポツリと零すような声で言った。 「……彼には、管理局の武装局員が救われたことがあるのよ」 「それだけでは、実力に関しては不明瞭です」 「後で教えてあげる事について、自分で調べてそれで納得の行く答えを見つけ出しなさい」 それ以上、クロノ執務官が何を聞いてもリンディ艦長は答える気はなさそうだった。 未だ納得がいかないという雰囲気を見せているが、とりあえずはリンディ艦長の言葉に従うらしい。 大人しくなったクロノ執務官とは裏腹に、なのはたちは妙にキラキラとした視線を俺に向けている。 なんていうか、非常にその視線はムズ痒いんだが…… 「ありがとう、ラル!」 「ラルさん、ありがとう!!」 さらにお礼の言葉なんて言われると……あぁ、背中が痒いっ!? そんな俺の心など露知らず、なのはとユーノは喜びを全身で表していた。 ……やれやれ、とりあえずこっちはこんなもんでいいかね。 「さて……次はあいつらの方か……」 俺の小さな呟きは、なのはたちの喜びの声に紛れ、誰に聞かれる事なく大気に消えた。 おまけ 「なぁ、クロノ執務官」 「……なんだ?」 話が終わり、各々が少なからずくつろぎを見せ始めたとき。 俺は、自分の目を疑ってしまった。 「リンディ艦長は、何か重度の味覚障害か、もしくは何か特殊な嗜好を?」 エイミィと紹介された女性からお茶を受け取った後、大量の砂糖とミルクを入れだしたのだ。 さっきは気のせいだと考え込む事でスルーできたが、今度ばかりは否定できそうにない。 しかも、お茶としての色を全否定しているその飲み物を、美味しそうに飲んでいる。 なのはやユーノですら、その様子を見て固まってしまっている。 「かあさ……いや、艦長は、あれを純粋に美味しいと思っている」 重度の味覚障害でも持っているのなら、治療するくらいしてやるかと思い小声で聞いてみたのだが…… クロノ執務官から返って来た返事は、暗に味覚傷害ではなく、本人の好みの問題だと言う。 しかし、それはそれで…… 「……ヤバくないか?」 「……言うな」 心底突っ込まれたくないという雰囲気と、暗い影を背負い始めるクロノ執務官。 世の中、特殊な嗜好を持つ人間とは本当にいるんだなぁと変な納得をしてしまった。 「将来、糖尿病もしくは肥満の可能性有りっと……」 本人に聞かれたら、暴走確実であろう事を呟きながら俺は脳内にリンディ艦長は極度の甘党と記録した。 〜 あとがき 〜 交渉というよりは、なんというか屁理屈満載な気がします。 他の手段としても考えがありましたけど……これがラルには丁度いいかなぁと。 まぁ、反応次第でもうちょいマトモな交渉に差し替える“かも”しれませんけどー とりあえず、本編の……8話ですか、今? と、なると残りの本編は4話な訳で…… たぶん、こっちの8話分にはならないと思うんですが…… あんまり長くなるとA'sとかStSはどんだけ長くなるのやら……? それでは、このへんで。 From 時雨
初書き 2009/01/05
公 開 2009/02/01 |